IEEE802.11ax(Wi-Fi6)

 IEEE802.11axはIEEE802.11ac(2014)に続く次世代Wi-Fi規格で、Wi-Fi6とも呼ばれます。最大通信速度(理論値)は、IEEE802.11ac(Wi-Fi5)と比べて約1.4倍の9.6Gbpsの高速通信を実現しています。

 IEEE802.11acと比べて、それほど、通信速度が向上していないように思われるかもしれませんが、これまでの規格は、同時にたくさんの子機が接続すると通信速度が、極端に落ちたり、接続できなくなるという欠点がまだありました。

 そこで、このIEEE802.11axでは、同時にたくさんの子機が同時に接続をして通信したときでも通信性能が低下しないように工夫されています。

 IEEE802.11acとしては5GHz帯しか利用できなかったが802.11axでは5GHz帯と2.4GHz帯の両方が使えるようになっています。※IEEE802.11acもIEEE802.11nの2.4GHzと組み合あわせることが可能です。

IEEE802.11ax(Wi-Fi6E)

 長い間、Wi-Fi(無線LAN)で使用できる周波数帯は、2.4GHzと5GHzと定められていました。しかし、Wi-Fiの利用が急速に拡大したため、2022年9月にWi-Fiで、6GHzの周波数帯が利用できるように法律が変更されました。

Wi-Fi6に6GHzの周波数帯が利用できるように拡張したものが、Wi-Fi 6E です。「E」は、Extend(拡張)の意味です。5GHz帯では160MHzのバンド幅で2本でしたが、6GHz帯では3本となり、より快適な通信と高速化が期待できる規格となっています。

 2.4GHz帯と5GHz帯、特に2.4GHz帯は、過密状態です。両方の周波数帯の利用状況を道路で例えると、渋滞状態であると言えます。新しく追加された6GHz帯のWi-Fi通信は、道が空いており、渋滞していない高速道路と言えるでしょう。干渉による速度低下の影響も受けにくく、快適な無線通信が期待されています。

チャネルの分割利用

 IEEE802.11acまでの802.11シリーズでは、無線の占有帯域幅を最小20MHz単位でチャネルを割り当てていました。
 IEEE802.11axでは、1チャネルを最大で8個のクライアントに対して分割して割り当てることができるため、より効率よく帯域幅を活用することができます。分割の必要がない場合は、従来のように1つのチャネルとしても利用できるようになっています。

WPA3のサポート

 Wi-Fi6では「WPA3」と呼ばれる新しいセキュリティ規格がサポートされています。WPA3-Personalでは、PSKに代わるSAE(Simultaneous Authentication of Equals:同等性同時認証)とう新しい認証方式で、よりセキュアに通信を保護することができます。

IEEE802.11be(Wi-Fi7)

 業界団体であるWi-Fi Allianceが、Wi-Fi7製品の認証を2024年末に開始することが予定されています。

 次世代の無線LAN規格であるWi-Fi7(IEEE802.11be)では、データ通信に使う帯域がWi-Fi 6/6Eの160MHzから、320MHzに倍増されます。

 変調方式を「1024QAM」から4倍の「4096QAM」に拡張することで、理論上の最大通信速度が40Gbpsとなり、大幅な高速化を実現しています。

2倍の帯域幅よる速度向上

 Wi-Fi7では、チャネル幅を旧規格の2倍の320MHzに拡張することで、さらに速度の向上と、より多くの同時送信を実現します。

16×16 MU-MIMO

 アンテナの数をWi-Fi6の2倍に拡張して、WiFi6の2倍の16本のストリームすることで、より多くの同時通信を実現します。

4096-QAM(4K-QAM)

 変調方式を4K-QAMにすることで、1度に送信できる情報量を増やしています。Wi-Fi6では1024-QAMの10bitでしたが、4096-QAMを使用すること一度に12bitが伝送可能となります。Wi-Fi6より伝送速度が20%向上し、4K/8K動画視聴、ラグのないオンラインゲームの利用が期待されています。

MLO(Multi-Link Operation)

 Wi-Fi6以前の従来のデバイスでは、1つのシングルリンク、すなわち、1つの帯域(2.4GHzもしくは5GHz)しか利用できませんでした。

 MLO(Multi-Link Operation)に対応したWi-Fi7は、マルチリンクに対応しており、2.4GHz、5GHz、6GHzの複数の帯域とチャンネルを利用することで、スループットを向上させています。