
Wi-Fi規格の歴史
Wi-Fiの起源
無線LANが初めて製品化され、世の中に登場したときは、各メーカーが独自の技術仕様で発売していたため、たとえ、同一のメーカー製品であったとしても製品を正しく接続できるかどうかが分からない状態でした。
これでは、無線LANは、一般に普及しませんよね。そこで、この問題を解決するために、1999年にWECA (Wireless Ethernet Compatibility Alliance)という団体ができます。その後、2002年10月に「Wi-Fi Alliance」という団体名に改名されます。
Wi-Fiとは
Wi-Fiとは、IEEE802.11シリーズの機器のうち業界団体「Wi-Fi Alliance」によって相互接続性試験にパスした機器に対して用いられる名称です。
このWi-Fiという名前が付いた無線機器は、他社製品との相互接続性の試験を合格している製品のため、たとえメーカーが異なっていたとしても正しく無線通信ができることを保証しています。Wi-Fiとは、無線製品の相互接続できることを保証する、いわばブランドとも言えます。
IEEE802.11b/g/a の時代
1997年に802.11規格が制定されてから、2000年代初頭から普及しはじめ、年を追うごとに広く企業や学校、多くの家庭で利用されるようになりました。この時代のWi-Fiの通信速度は、11Mbps~54Mbpsと有線LANと比べると低速でした。
IEEE802.11n/ac(Wi-Fi5/Wi-Fi5) の時代
2007年にAppleのiPhoneに代表されるスマートフォンが登場します。スマートフォンの普及に伴い、無線LANの利用が一気に加速していきます。

そんな時、2009年にIEEE802.11nが登場します。通信速度は、それまでの54Mbpsの11倍以上の600Mbpsに達しました。2013年には802.11acが登場し、ついに1Gbpsの壁を突破します。無線LANが有線LANより遅いという時代が終焉します。
IEEE802.11ax(Wi-Fi6)
無線LANの通信速度は高速化しましたが、「Wi-Fiは不安定」「Wi-Fiは混雑する」といった問題は、残されたままでした。
そこで、Wi-Fi6では、過密化するデバイスに対応するために、ネットワークの効率を重視した技術へ進化させる改善が盛り込まれました。また、これまで同時に接続できる無線デバイスは1台でしたが、4台へと拡張されます。
Wi-Fiの今後
現在、最新のWi-Fi6Eでは、ついに、6GHz帯域が利用できるようになり、次のWi-Fi7(IEEE802.11beでは、通信速度は46Gbpsという超高速な無線LANへと進化していきます。同時接続できるデバイス数もさらに増えます。IoTからIoEの時代へと、一気に加速していくことでしょう。

Wi-Fiの歴史
規格 | 最大データレート | 技術 | セキュリティ | 周波数帯(日本) | |
1997 ↓ | IEEE802.11 | 2Mbps | DSSS | WEP | ISM 2.4Ghz |
1999 ↓ | IEEE802.11b IEEE802.11a | 11Mbps(11b) 54Mbps(11a) | OFDM CCK | WPA(TKIP) | J52 |
2003 ↓ | IEEE802.11g | 54Mbps | WPA2(CCMP) | W52,W53 W56 | |
2009 ↓ | IEEE802.11n Wi-Fi 4 | 65~600Mbps | MIMO | ||
2014 ↓ | IEEE802.11ac Wi-Fi 5 | 290~6934Mbps | MU-MIMO(DL) | ||
2019 ↓ | IEEE802.11ax Wi-Fi 6 | 600~9607Mbps | OFDMA MU-MIMO(DL/UL) BSS Color | WPA3(SAE/CNSA) | |
2021 ↓ | Wi-Fi 6E | 9.6Gbps | 6Ghz 2022/9/2より | ||
2024 予定 | IEEE802.11be Wi-Fi 7 | 46Gbps |