プロトコルとは

プロトコル(protocol)とは、広辞苑で、その意味を調べると

  1. 条約の原案、議定書
  2. 外交儀礼
  3. コンピューター‐システムで、データ通信を行うために定められた規約。情報フォーマット、交信手順、誤り検出法などを定める。

とあります。

なぜ、プロトコルがないと困るのでしょうか?

スポーツで例えてみます。

野球のルールを知らなければ、野球はできません。

また、対戦相手も野球のルールを知っていなければ、なりません。

こちらが、野球のルールで、対戦相手がサッカーのルールでプレイするのであれば、試合が成り立ちません。

つまり、お互いが、同じルールを使用しなければ、試合が成り立ちません。

 実社会においても、プロトコル(約束事)がなければ、国同士が良い関係を結ぶことができません。政治、経済、貿易などで摩擦が生じてしまいます。

下手をすると、戦争を引き起こしてしまうかもしれません。両者が良い関係を結ぶには、両者間に約束事が必要です。

ネットワークの世界でも同じことが言えます。

お互いに同じルールに基づいて通信しなければ、通信が成り立ちません。

 例えば、2台のコンピュータ間で、通信を行おうとする場合、事前に、たくさんの約束事(プロトコル)を取り決めておかないと通信できないのです。

  • ケーブルの形状
  • 電気信号
  • コネクタの形状
  • エラー訂正

これら、どれか1つでも欠けるだけで通信はできません。

プロトコル(約束事)は、たくさんあります。

 例えば、シリアルポートの規格であるRS-232-C、モデムの規格であるV.90、V.34、ブロードバンド接続のADSL、FTTHなどです。LANで使用されるイーサネットもプロトコルです。

 このように、様々な種類のプロトコルがあります。その中でも、インターネットやLANで最も普及して一般的に使われているのがTCP/IPプロトコルです。

 ネットワークを理解する上で、TCP/IPプロトコルの理解は欠かせないものとなっております。後のコンテンツでTCP/IPプロトコルについて説明していきます。

異機種間接続が可能

 上の「プロトコルとは」で説明したように、互いに通信を行うためには、プロトコル(約束事)を合わせておく必要があります。

 今でこそ、TCP/IPプロトコルは、インターネット、LANのスタンダードになっていますが、一昔前までは、各メーカごとに約束事が違い、OS、メーカーが違えば通信できないことが当たり前でだったのです。

 上図を見て下さい。お互いに、プロトコル(約束事)が違うわけですから、このままでは、通信することができません。

 人間のコミュニケーションも同じです。日本語を使う日本人と英語を使うアメリカ人は、そのままでは、うまくコミュニケーションがとれないのと同じです。うまく、コミュニケーションをとるには、どちらかが相手の言語に合わせてしゃべるか、通訳が必要になってきます。

それは、通信の世界でも同じです。以下のプロトコルは、それぞれの機種同士の通信が前提になってしまいます。

OSプロトコル
Windows(IBM互換機)NetBEUI
MacintoshAppleTalk
NetwareIPX/SPX
UNIX,LinuxTCP/IP
OSとプロトコル

※各OSの最新バージョンでは、TCP/IPが標準になっています。

同じプロトコルを使用するコンピュータであれば、通信できますが、機種やOSの違えば通信できません。

 ネットワークは、機種やOSの違いに関係なく、どんなコンピュータでもネットワークに参加できなければ、使い勝手が良くありません。そこで、機種やOSの違いに関係なく、どんなコンピュータでもネットワークに参加させることができるプロトコル、そTCP/IPが注目されたのです。

 TCP/IPの歴史は古く、1960年に、米国国防総省の研究機関であるDARPA(Defence Advanced Research Project Agency)が、異機種間の通信を可能にするために定めたARPANET用の通信プロトコルです。

 TCP/IPはあらゆる面でオープンであったため、TCP/IPは、インターネットのみならず、イーサーネットの標準プロトコルになっています。現在インターネットが広く普及した要因として、このTCP/IPの存在が挙げられます。TCP/IPは機種依存しない仕組みを持つので世界標準になっています。

 TCP/IPは、事実上、インターネット、イーサネットでスタンダードになっていますが、実際のネットワークは、少々複雑です。現在でもメーカ独自のプロトコルを使用しているコンピュータが少なからずネットワークに存在します。その際、相互接続を行うには、ゲートウェイが必要になってきます。

代表的なプロトコルのまとめ

 ネットワークプロトコルは、コンピュータネットワークにおける通信規約です。以下に、代表的なネットワークプロトコルをまとめて紹介します。

  1. TCP/IP:インターネットで利用されるプロトコル群の総称。IPアドレスを用いてネットワーク上の機器同士を接続し、TCPプロトコルを利用してデータの送受信を行う。
  2. HTTP:WebサーバーとWebクライアント間での通信に使用されるプロトコル。Webページの取得や送信に用いられる。
  3. FTP:ファイル転送プロトコル。ファイルのアップロードやダウンロードに用いられる。
  4. SMTP:電子メールの送信に用いられるプロトコル。
  5. POP3:電子メールの受信に用いられるプロトコル。
  6. IMAP:電子メールの受信に用いられるプロトコル。POP3とは異なり、メールサーバ上にメールを残すことができる。
  7. DHCP:ネットワーク上の機器に自動的にIPアドレスを割り当てるプロトコル。
  8. DNS:IPアドレスとドメイン名を対応させるためのプロトコル。
  9. SSL/TLS:インターネット上の通信を暗号化するためのプロトコル。Webサイトによく使用される。
  10. ICMP:ネットワーク上のエラー報告や、通信速度の調整などを行うためのプロトコル。

RFCとは

 TCP/IPプロトコル体系の各プロトコルのほとんどは、RFC(Request For Comment)という名称の文書でまとめられています。

例えば

  • IP  ・・・ RFC 791
  • TCP ・・・ RFC 793
  • HTTP・・・ RFC 2616
  • FTP ・・・ RFC 959

などがあります。

 RFCは、IETFが標準化のための仕様を策定するために、一般に公開された文書でインターネット上で公開されています。

RFCの各文書は、IETFのWebサイトなどで閲覧することができます。

https://www.ietf.org/