IPアドレス枯渇の問題
IPアドレスの中には、いくつかのIPアドレスが予約されています。その特殊なIPアドレスの中で、プライベートIPアドレスについて説明して行きます。
※ここでの話は、IPv4です。
また、IPアドレスは、32ビットで構成されることから、
232 = 4,294,967,296個
となり、約43億個のIPアドレスがあることが分かります。
これは、十分な数のIPアドレスがあるように思えますが、世界中の人口(2008年1月で66億)で考えると、1人に付き1つのIPアドレスすらないのです。ましてや、パソコン1台に1つのIPアドレスを割り当てることもままなりません。
そもそも、IPアドレスは、割り当て当初、クラスA、クラスB、クラスCのアドレス単位で、大雑把に大量に割り当てをしていたために、すぐに底を突きそうになりました。
IPアドレスは有限です。IPアドレスの枯渇の可能性が危惧されるようになったのです。
しかし問題があります。
これは、IPアドレスの「同じアドレスは1つしか存在しない」というルールがあるからです。
このIPアドレス枯渇の問題に対処するために考えられた方法がいくつかあります。
IPv6もその1つです。IPv6は、128ビットで構成されることから、
2128 = 3.4 × 1038 個
約43億×約43億×約43億×約43億だけのIPアドレス数が確保できます。この数は、枯渇の心配がない十分な数のIPアドレス空間です。
しかし、IPv6に移行するには、さまざまな障害があります。ネットワーク回線、サービスプログラム、ネットワーク端末が、IPv6に対応しなければならないからです。
※今のところIPv6に移行する緊急性がないため、利用されているとは、言いがたい状況です。
プライベートIPアドレス
IPアドレス枯渇の問題の解決策として、プライベートIPアドレスが考えられました。
ローカルネットワークにだけ利用される特別なIPアドレスを設定し、これをインターネットには流れ出さないようにすれば、重複してもIPアドレスが利用できるという考え方です。

プライベートIPアドレスは、以下の通りです。
クラス | 説明 |
クラスA | 10.0.0.0~10.255.255.255/8 |
クラスB | 172.16.0.0~172.31.255.255/12 |
クラスC | 192.168.0.0~192.168.255.255/16 |
このプライベートIPアドレスを使えば、IPアドレスを申請して取得しなくとも、自由にLANを構築することができます。
しかし、このプライベートIPアドレスでは、インターネットに接続できません。それは、インターネット上の機器で、ルーティングできないように設定されているからです。
プライベートIPアドレスが割り与えられた端末からインターネットへ接続するには、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスへ変換する仕組みが必要です。
この仕組みには、NAT、IPマスカレードというものがありますが、この仕組みについては、後ほど説明します。