コネクション型通信

 ネットワークの接続には、コネクション型とコネクションレス型があります。TCP/IPを学習する上では、TCPはコネクション型、IPやUDPはコネクションレス型と覚えておけば十分です。

簡単に、コネクション型とコネクションレス型を説明すると以下のようになります。

  • コネクション型: 相手と接続に関するやり取りを行う方式
  • コネクションレス型: 送信元と宛先とでデータのやり取りに対する交渉を行わない方式

まず、コネクション型の接続について簡単に説明して行きます。

 コネクション型による接続は、コネクションを確立し、さまざまな制御情報をやり取りしながら通信を行う方式です。

コネクション型のメリットは、何でしょうか?

インターネットを想像してみて下さい。

 インターネットは、様々なネットワーク機器が存在し、メッシュ状のネットワークです。つまり、ネットワーク上には、複数の経路が存在します。送信元から、宛先まで1本道であれば、その道が切断されない限り、パケットは、送った順に確実に相手に届けることができます。

しかし、複数の経路がある場合は、どうでしょうか?

 パケットごとに、いろんな経路をたどって宛先まで行くかもしれませんし、迷子になるかもしれません。また、様々な機器を経由することになりますから、それらの機器に破棄されてしまうかもしれません。

 コネクション型の通信では、いろいろな機器が接続され、複数のネットワークを介しているにもかかわらず、通信を行う2台のコンピュータはあたかも1本の回線で結ばれたようになります。

 しかし、コネクション型の通信は信頼性が高くなる反面、さまざまな手続きを踏むので、オーバーヘッドがコネクションレス型と比べて大きくなってしまうという欠点があります。

コネクションレス型通信

次に、コネクションレス型の接続について簡単に説明していきます。

コネクション型の通信を理解しやすく説明するために郵便を例に説明してゆきます。

 手紙を出すには、まずはがきの表に、宛先住所と受取る相手の名前を書き、伝えたい内容をはがきの裏に書きます。

そして、最寄の郵便ポストに投函します。

投函したはがきが、どのように配達され、相手に届いたかどうかは、分かりませんよね。

 日本の郵便は、信頼性が高いので、相手に届くのは明日になるか、一週間後になるのかは、分かりませんが、ほぼ、確実に届きますよね。

しかし、確率は高くありませんが事故が起こって相手に届かないこともあります。

もしも、送るものが重要な書類だったらどうでしょうか?

紛失したら困りますよね!

そこで、大事な書類を送る時には、追加料金を払って、引き受けと配達を記録する簡易書留で送ります。

簡単に言うと

普通の手紙の出し方 ・・・ IPによる通信方式(コネクションレス型)

簡易書留(配達の記録)を利用した手紙の出し方 ・・・ IP + TCP(コネクション型)による通信

と例えることができます。

 日本における郵便事情では、普通の手紙の出し方で十分かもしれませんが、手紙の紛失が当たり前の国だったらどうでしょう。簡易書留のような仕組みがないと相手に手紙を届けることができませんよね!

そう考えると、簡易書留を利用した手紙の出し方の方が、良いのでは?

と思われるかもしれませんが、

 コネクションレス型による通信は、信頼性をある程度犠牲にしますが、その反面、作業に伴う交渉のオーバーヘッドがない分、処理が軽快という特徴があります。

しかし、ネットワーク機器の信頼性や回線の品質も良くなっていますので、信頼性も高くなっています。

通信の種類によっては、必ずしもコネクション型による通信が優れているとは言えません。

 したがって、アプリケーションによって、コネクション型か、コネクションレス型で通信するのかが違ってきます。FTPのような確実に相手にデータを届けなければならないアプリケーションでは、TCPによるコネクション型の通信を行っています。

ネットワークの信頼性

 TCP/IPネットワークでは、TCPというコネクション型のプロトコルを使って、ネットワークの信頼性を高めています。しかし、通信の信頼性を100%保証されるわけではありません。

ネットワークの信頼性に限らず、コンピュータシステムの稼働率、セキュリティについても同様のことが言えます。

下の図は、信頼性、稼働率、セキュリティとコストの関係をグラフにしたものです。

 信頼性、稼働率、セキュリティも高いことに、こしたことはありませんが、コストとの兼ね合いを考慮する必要があります。費用対効果を考え、目的を達成することが重要になってきます。