このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。
WLCのトラブルシューティング②
「WLCのトラブルシューティング①」の続きです。WLCによるWPA2-Enterpriseネットワークをトラブルシューティングしていきます。
下図ネットワークの設定には、間違いが6カ所あり、トラブル(問題)が2つ見つかっており、そのうち1つは解決済みです。
トラブル①:有線ホストのIPアドレスの設定が自動取得になっていない。
トラブル②:L3SWに接続するケーブルがG1/0/5ではなくG1/0/6に接続されている。(解決済み)

・PC1に暫定的に固定IPを割り当てる
PC1に暫定的に固定IPを割り当てます。VLAN5に割り当てられたネットワークアドレスは「192.168.5.0/24」です。そのネットワークに所属するIPアドレスを割り当てます。
IPv4 Address ・・・ 192.168.5.100
Subnet Mask ・・・ 255.255.255.0
Default Gateway ・・・ 192.168.5.1
DNS Server ・・・ 172.16.1.254

・PC1からデフォルトゲートウェイにping
C:>ping 192.168.5.1

デフォルトゲートウェイへのpingは失敗します。
・L3SWからVLAN5のデフォルトゲートウェイへping
L3SW#ping 192.168.5.1
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.5.1, timeout is 2 seconds:
.....
Success rate is 0 percent (0/5)
VLAN5のデフォルトゲートウェイ(192.168.5.1)へのpingは失敗します。
ここで、疑問が湧いてくる方もいるかもしれません。
それは、L3SWにはVLAN200のIPアドレス「192.168.200.100/24」が割り当てられているのだから、VLAN5の「192.168.5.1/24」へのpingはできるはずがないという疑問です。
ですが、L3SWのG1/0/1のトランクの設定とR1ルータのサブインターフェイスの設定が正しくできているならば、R1ルータのVLAN間ルーティングで、ちゃんとpingが成功するはずです。
・L3SWからVLAN200のデフォルトゲートウェイへping
L3SW#ping 192.168.200.1
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.200.1, timeout is 2 seconds:
.!!!!
Success rate is 80 percent (4/5), round-trip min/avg/max = 0/0/0 ms
VLAN200のデフォルトゲートウェイ(192.168.200.1)へのpingは成功します。
ということは、R1ルータのサブインターフェイス、もしくはL3SWのR1ルータに繋がるG1/0/1の設定に問題がありそうです。

・L3SWのトランク設定の調査
PC1から近いL3SWから調査することにします。
L3SWからVLAN5のデフォルトゲートウェイへのpingは失敗し、VLAN200のデフォルトゲートウェイへのpingは成功することから、G1/0/1のトランクの設定を疑います。
※実は、VLAN5のデフォルトゲートウェイへpingが失敗するのは、L3SWのトランクの設定以外にもあります。
L3SWで「show int trunk 」コマンドを実行します。
L3SW#show int trunk
Port Mode Encapsulation Status Native vlan
Gig1/0/1 on 802.1q trunking 1
Port Vlans allowed on trunk
Gig1/0/1 200
Port Vlans allowed and active in management domain
Gig1/0/1 200
Port Vlans in spanning tree forwarding state and not pruned
Gig1/0/1 200
トランクの設定で、VLAN5が許可されていないことがわかります。
ここで、3つ目のトラブルが判明します。
トラブル③:L3SWのG1/0/1のトランクにVLAN5が許可されていない。
トラブル③の対処
L3SWで以下のコマンドを実行します。
L3SW(config)#int g1/0/1
L3SW(config-if)#switchport trunk allowed vlan 5,200
L3SW(config-if)#end
L3SW#copy run start
L3SWで「show int trunk 」コマンドを実行します。
VLAN5とVLAN200が許可されていることが確認できます。
L3SW#show int trunk
Port Mode Encapsulation Status Native vlan
Gig1/0/1 on 802.1q trunking 1
Port Vlans allowed on trunk
Gig1/0/1 5,200
Port Vlans allowed and active in management domain
Gig1/0/1 5,200
Port Vlans in spanning tree forwarding state and not pruned
Gig1/0/1 5,200
ここまでで、トラブル②③の修正を行いました、残り4つのトラブルは、「WLCのトラブルシューティング③」以降で解決していきます。
