このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。

 ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfee インターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。

演習ファイルのダウンロード

ACL(ルータの発行コマンドの注意)

ACL(ICMP)」の続きです。

拡張IPアクセスリストを使用すれば、ICMP通信を制御することができます。

 ネットワークは、下図のように構成されており、R1ルータには、次のICMPエコー要求をブロックするアクセスリストが、G0/0のOUTに適用されています。

●R1ルータのアクセスリストの設定

R1(config)#access-list 100 deny icmp any 192.168.1.0 0.0.0.255 echo
R1(config)#access-list 100 permit ip any any

R1(config)#int e0
R1(config-if)#ip access-group 100 out

R1ルータからPC1へPingを行ってみます。

R1#ping 192.168.1.10

Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.1.10, timeout is 2 seconds:
.!!!!
Success rate is 80 percent (4/5), round-trip min/avg/max = 0/0/2 ms

あれ!成功してしまいます!

 アクセスリストで、宛先が「192.168.1.0/24」ネットワークへのICMPエコー要求をR1ルータのG0/0から出ていくことを禁止しているにもかかわらずです。

ちょっとおかしいと感じるかもしれません。

ルータが発行するコマンドの注意点

  • ルータの発行するコマンド(telnet、ping)は、そのルータのアクセスリストのプロセスを実行しない。
  • イメージ的にはルータの外から実行される。

 今度は、拡張Pingを使って、送信元IPアドレスを「192.168.2.1」として、R1ルータからPC1へPingを行ってみます。

R1#ping
Protocol [ip]: 
Target IP address: 192.168.1.10
Repeat count [5]: 
Datagram size [100]: 
Timeout in seconds [2]: 
Extended commands [n]: y
Source address or interface: 192.168.2.1
Type of service [0]: 
Set DF bit in IP header? [no]: 
Validate reply data? [no]: 
Data pattern [0xABCD]: 
Loose, Strict, Record, Timestamp, Verbose[none]: 
Sweep range of sizes [n]: 
Type escape sequence to abort.
Sending 5, 100-byte ICMP Echos to 192.168.1.10, timeout is 2 seconds:
Packet sent with a source address of 192.168.2.1
.!!!!
Success rate is 80 percent (4/5), round-trip min/avg/max = 0/0/0 ms

送信元IPアドレスを「192.168.2.1」としても、成功してしまいます。

R1ルータのコンフィグ

●R1のコンフィグ
enable
conf t
hostname R1
int g0/0
ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
no shutdown
int g0/1
ip address 192.168.2.1 255.255.255.0
no shutdown
exit
access-list 100 deny icmp any 192.168.1.0 0.0.0.255 echo
access-list 100 permit ip any any
int g0/0
ip access-group 100 out
end
copy run start

 次の「ACLの配置について」では、標準IPアクセスリスト、拡張IPアクセスリストをインターフェイスに適用する際に、考慮する点について説明します。