IPv6(IPv6アドレスの表記)

 IPv6 アドレスは 128ビット(16 バイト)もあります。2進数で表記するとあまりにも長くなってしまうので、16進数で表記するようになっています。

 それでも32桁にもなります。この後、説明していきますが、IPv6アドレスは、できるだけ短く表現できるように、表記方法が工夫されています。それでも、IPv6 アドレスは長くなってしまいます。

 これは、人間が一目見て、記憶できる限界を超えています。この長いアドレスを管理するのも困難ですし、正確に入力することも難しい作業です。

 とは言っても、IPv6アドレスをそのままの16進数、32桁で扱うのは、とても大変なので、省略記法があるのは、せめてもの救いです。

IPv6表記

  • 16ビットごとに区切って16進数で書く。
  • 区切り文字は「:」(コロン)
  • IPv6 アドレスの先頭部分をプレフィックスと呼び、長さを「/」の後に書く。

※「/128」(アドレス全体) は、明示的に指定する必要はないので、しばしば省略されます。

IPv6の分類

IPv6 アドレスは、先頭3 ビット(/3)によって大きく8つに分けられています。

 3ビットは、16進数と相性が悪く、理解しにくいので、16進数1桁の4 ビットの16個に分割した方が理解しやすいかもしれません。

2 進数16 進数用途
0000特殊なアドレス
1
0012経路集約型アドレス
3
0104未割り当て
5
0116未割り当て
7
1008未割り当て
9
101a未割り当て
b
110c未割り当て
d
111eリンクローカル、サイトローカル、マルチキャスト
f

IPv6の省略記法

IPv6では、以下の省略表記が利用できます。

  • 各ブロックの先頭の連続する「0」は省略可能
  • 「0000」は「0」と表現する。
  • 連続する「0」のブロックは、1回に限り、「::」に置き換え可能

IPv6アドレスの表記方法は、次のようになります。

 2001:1000:0120:0000:0000:0000:1234:0000

              ↓  各ブロックの先頭の連続する「0」は省略可能
                  「0000」は「0」と表現する。

 2001:1000:120:0:0:0:1234:0

              ↓  連続する「0」のブロックは、1回に限り、「::」に置き換え可能

 2001:1000:120::1234:0

 省略できるのは1ヶ所だけです。

 2001:1000:120::1234:: × ← こうは書けない

IPv6(IPv6アドレスの種類)

IPv4アドレスは、次の3種類で分類されています。

IPv4の種類用途
ユニキャストアドレス1 対 1の通信に使われるアドレス。
ブロードキャストアドレスネットワーク上の複数のコンピュータに対して、一斉にデータを送信するために利用されるアドレス。
マルチキャストアドレスネットワーク内で選択されたグループに対して同一の情報を送信するために利用されるアドレス。

IPv6アドレスは、次の3種類で分類されています。

IPv4にはないエニキャストが追加され、IPv4にあったブロードキャストがなくなっています。

IPv6の種類分類用途
ユニキャストアドレスグローバルユニキャストアドレス1 対 1の通信に使われるアドレス。
サイトローカルユニキャストアドレス(廃止)
ユニークローカルユニキャストアドレス
リンクローカルユニキャストアドレス
マルチキャストアドレス-IPv4のマルチキャストと同等で、ネットワーク内で選択されたグループに対して同一の情報を送信するために利用されるアドレス。
エニーキャストアドレス-IPv6からの新しいアドレスタイプで、ネットワーク的に最も近い相手と通信したい場合に使用するアドレス。

ユニキャストアドレス

 1 対 1の通信に使われるアドレスで、集約可能なグローバルユニキャスト、サイトローカルユニキャストアドレス、ユニークローカルユニキャストアドレス、リンクローカルユニキャストアドレスがあります。

 サイトローカルユニキャストアドレスは廃止され、それに代わって、ユニークローカルユニキャストアドレスが定義されています。

マルチキャストアドレス

 IPv4のマルチキャストと同等で、ネットワーク内で選択されたグループに対して同一の情報を送信するために利用されるアドレスです。

 IPv4で、同じネットワークの全てのホストという意味があったブロードキャストアドレスは、マルチキャストアドレスの一部という考え方から、IPv6では、マルチキャストアドレスに含まれた形になっています。

 IPv6では、ブロードキャストアドレスは存在しません。ブロードキャストで行っていた用途も、全てマルチキャストを使用します。

エニーキャストアドレス

 IPv6からの新しいアドレスタイプで、ネットワーク的に最も近い相手と通信したい場合に使用するアドレスです。エニーキャストアドレスでは、複数のホストに同じエニーキャストアドレスを振ることが許されています。グローバルアドレスでありながら、重複が許されています。最寄であるかどうかは、ルーティングプロトコルのメトリックによって判断されるようになっています。

IPv6のスコープ

 IPv6アドレスには、宛先が1つのユニキャストアドレス、宛先が複数のマルチキャストアドレス、最寄の相手を宛先とするエニーキャストがあります。それらのアドレスには3種類のスコープがあります。

IPv6のスコープ説明
リンクローカル1 つのローカルリンク(ブロードキャストドメイン)上でのみ有効なIPv6 アドレス。自動構成中に割り当てられます。
グローバル有効範囲に制限のないIPv6アドレスで、インターネット全体で使用されます。
サイトローカル(廃止)ローカルなイントラネットサイトの内部だけで使用されるIPv6 アドレス。
ほとんど使われることなく、廃止されました。

 IPv6ノードは、常にリンクローカルアドレスを持ち、1つ以上のグローバルアドレスを持つ場合もあります。また、廃止が決まっていますが、サイトローカルアドレスを持つ場合もあります。

IPv6アドレスの種類とプレフィックス

 下の表では、IPv6アドレスとプレフィックスとの関係を表しています。IPv6アドレスのプレフィックスを覚えておけば、どの種類のIPv6アドレスかが分かります。覚えておきましょう。

プレフィックスバイナリプレフィックス用途
0::/800000000...未指定、ループバック
未指定・・・「::」
ループバック・・・「::1」
2000::/3001...グローバルユニキャストアドレス
FC00::/71111110...ユニークローカルユニキャストアドレス
FE80::/101111111010...リンクローカルユニキャストアドレス
FEC0::/101111111011...サイトローカルユニキャストアドレス(廃止)
FF00::/811111111...マルチキャストアドレス

既知のマルチキャストアドレス

下の表は、代表的なマルチキャストアドレスとプレフィックスとの関係を表しています。

プレフィックス用途
FF02::1/128全てのノード
FF02::2/128全てのルータ
FF02::9/128全てのRIPルータ
FF02::1FF00:0/104要請ノードマルチキャストアドレス。IPv6アドレスとMACアドレスのアドレス解決に使用される。