このページで解説している内容は、以下の YouTube 動画の解説で見ることができます。

ネットワーク構成

ネットワークの構成は、下図のとおりです。

演習ファイルのダウンロード

 ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習で使用するファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfeeインターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。

VTPの設定

Catalyst2960スイッチを使用し、VTPドメインを指定して下図のネットワークを構築します。

VTPドメイン名には、「CCNA」を使用します。

基本設定

まず、基本設定を行います。使用するスイッチは、2台共に Catalyst2960スイッチを使用します。

●S1の設定

Switch(config)#hostname S1
S1(config)#vlan 10
S1(config-vlan)#name vlan10
S1(config-vlan)#vlan 20
S1(config-vlan)#name vlan20
S1(config-vlan)#vlan 30
S1(config-vlan)#name vlan30
S1(config-vlan)#exit
S1(config)#int f0/1
S1(config-if)#switchport mode access
S1(config-if)#switchport access vlan 10
S1(config-if)#int f0/2
S1(config-if)#switchport mode access
S1(config-if)#switchport access vlan 20
S1(config-if)#int f0/3
S1(config-if)#switchport mode access
S1(config-if)#switchport access vlan 30
S1(config-if)#int g0/1
S1(config-if)#switchport mode trunk

●S2の設定

Switch(config)#hostname S2
S2(config)#int g0/1
S2(config-if)#switchport mode trunk

ペースト用のコンフィグ

●S1

hostname S1
vlan 10
name vlan10
vlan 20
name vlan20
vlan 30
name vlan30
exit
int f0/1
switchport mode access
switchport access vlan 10
int f0/2
switchport mode access
switchport access vlan 20
int f0/3
switchport mode access
switchport access vlan 30
int g0/1
switchport mode trunk

●S2

hostname S2
int g0/1
switchport mode trunk

VTPドメインの設定

 ネットワークの規模が大きくなればなるほど、VLANの設定作業が増えてきます。規模が大きくなればなるほど、さらに作業量が増えてきます。

 そこで、VTP(VLAN Trunking Protocol)を使うとVLANの管理が容易になります。VTPは、Cisco独自のプロトコルで、Ciscoスイッチでサポートされています。

①VTPドメイン名の指定

 VTPを設定するには、各スイッチにVTPドメイン名を指定します。このドメイン名は、各スイッチで統一しておく必要があります。ドメイン名は大文字小文字を区別します。

Switch(config)#vtp domain {domain-name}

※VTPドメインの名前は、1~32文字まで

②VTPモードの指定

 スイッチが動作するモードを指定します。必ずVTPドメイン内に、1台以上のサーバモードのスイッチが必要になります。VTPモードのデフォルトは、Server となっています。

Switch(config)#vtp mode { server | client | transparent }

モードVTPのリスニングVLANの作成VLANの削除
server
client××
transparent×
転送は行う
ローカルのみローカルのみ

③VTPパスワードの指定

 VTPドメインに参加するためにはVTPドメイン名とVTPモードを指定すれば動作しますが、VTPバスワードを指定してセキュリティを高めることができます。

 パスワードを設定して、VTPドメインに参加させるためには、VTPドメインとVTPパスワードを一致させる必要があります。

Switch(config)# vtp password {password}

VTPの設定と検証

基本設定が終わったところで、S2側のVLAN情報を確認しておきます。

S2側で「show vlan brief」コマンドを実行します。

●「show vlan brief」の出力

S2#show vlan brief 

VLAN Name                             Status    Ports
---- -------------------------------- --------- -------------------------------
1    default                          active    Fa0/1, Fa0/2, Fa0/3, Fa0/4
                                                Fa0/5, Fa0/6, Fa0/7, Fa0/8
                                                Fa0/9, Fa0/10, Fa0/11, Fa0/12
                                                Fa0/13, Fa0/14, Fa0/15, Fa0/16
                                                Fa0/17, Fa0/18, Fa0/19, Fa0/20
                                                Fa0/21, Fa0/22, Fa0/23, Fa0/24
                                                Gig0/2
1002 fddi-default                     active    
1003 token-ring-default               active    
1004 fddinet-default                  active    
1005 trnet-default                    active 

当然ながら、S1で作成された、VLAN10、VLAN20、VLAN30 がありません。

S1、S2スイッチで以下の設定を追加します。

S1(config)#vtp domain CCNA
S1(config)#vtp mode server
S1(config)#vtp password cisco

S2(config)#vtp domain CCNA
S2(config)#vtp mode client
S2(config)#vtp password cisco

S2側で、「show vlan brief」コマンドを実行します。

※VTPアドバタイズメントは、トランクポートからデフォルトで300秒ごとに送信されるため、少し待たなくてはならない場合があります。

●「show vlan brief」の出力

S2#show vlan brief 

VLAN Name                             Status    Ports
---- -------------------------------- --------- -------------------------------
1    default                          active    Fa0/1, Fa0/2, Fa0/3, Fa0/4
                                                Fa0/5, Fa0/6, Fa0/7, Fa0/8
                                                Fa0/9, Fa0/10, Fa0/11, Fa0/12
                                                Fa0/13, Fa0/14, Fa0/15, Fa0/16
                                                Fa0/17, Fa0/18, Fa0/19, Fa0/20
                                                Fa0/21, Fa0/22, Fa0/23, Fa0/24
                                                Gig0/2
10   vlan10                           active 
20   vlan20                           active 
30   vlan30                           active   
1002 fddi-default                     active    
1003 token-ring-default               active    
1004 fddinet-default                  active    
1005 trnet-default                    active   

 「show vlan」コマンドでVLAN情報を確認してみると、S2では、VLANを作成していないのに、VLAN10、VLAN20、VLAN30が存在しています。それは、S2がVTPアドバタイズメントを受信して反映させたからです。

 また、インターフェイスのVLANの割り当て状況をみると、どのポートにもVLANが割り当てられていないことが確認できます。

 VTPでは、VLANの作成、削除、変更の情報は、VTPドメイン内で反映されますが、ポートの割り当てまでは、反映されないことに注意して下さい。

それでは、S2のポートにVLANを割り当てます。

●S2のポートへのVLANの割り当て

S2(config)#int f0/1
S2(config-if)#switchport mode access
S2(config-if)#switchport access vlan 10
S2(config-if)#int f0/2
S2(config-if)#switchport mode access
S2(config-if)#switchport access vlan 20
S2(config-if)#int f0/3
S2(config-if)#switchport mode access
S2(config-if)#switchport access vlan 30

●S2ペースト用のコンフィグ

int f0/1
switchport mode access
switchport access vlan 10
int f0/2
switchport mode access
switchport access vlan 20
int f0/3
switchport mode access
switchport access vlan 30

●「show vlan brief」の出力

Switch_B側で「show vlan brief」コマンドを実行します。

S2#show vlan brief 

VLAN Name                             Status    Ports
---- -------------------------------- --------- -------------------------------
1    default                          active    Fa0/4, Fa0/5, Fa0/6, Fa0/7
                                                Fa0/8, Fa0/9, Fa0/10, Fa0/11
                                                Fa0/12, Fa0/13, Fa0/14, Fa0/15
                                                Fa0/16, Fa0/17, Fa0/18, Fa0/19
                                                Fa0/20, Fa0/21, Fa0/22, Fa0/23
                                                Fa0/24, Gig0/2
10   vlan10                           active    Fa0/1
20   vlan20                           active    Fa0/2
30   vlan30                           active    Fa0/3
1002 fddi-default                     active    
1003 token-ring-default               active    
1004 fddinet-default                  active    
1005 trnet-default                    active    

ポートにVLANが割り当てられていることが確認できます。

VTPにおける注意点

 Serverモードのスイッチは、VTPアドバタイズメントで、VTPドメイン名 、VTPパスワード、VLAN情報、コンフィグレーションリビジョン番号 (以下、リビジョン番号)をデフォルトで300秒ごとに送信しています。

 VTPドメインに参加するスイッチは、リビジョン番号を確認して、VLAN情報が新しいかどうかを判断しています。VLAN情報が新しいと判断すると、自身のVLAN情報を置き換えます。

このリビジョン番号は、ServerモードのスイッチがVLAN設定を変更するごとに値が1つ増加していきます。

VTPのこのVLAN情報を更新するメカニズムで注意すべき点があります。

それは、新しいスイッチをVTPドメインに追加するときです。

スイッチのデフォルトのVTPモードは、Serverモードになっています。

 新規追加のスイッチのリビジョン番号が、既存のリビジョン番号よりも大きい場合、新規追加のスイッチのVLAN情報に置き換わるということです。

 その時、新規追加のスイッチのVLAN情報が空た場合、VTPドメイン内におけるスイッチのVLAN情報が、空となり消えてしまいます。

演習ファイル(完了)のダウンロード

 ネットワークの構成を Packet Tracer で一から設定していくのは大変かと思います。「ダウンロード」から演習を完了させたファイルのダウンロードができます。ファイルは、McAfee インターネットセキュリティでウイルスチェックをしておりますが、ダウンロードは自己責任でお願いいたします。