IPアドレスの役割

今日、LANで標準的に使用されているのは、イーサーネットです。

イーサーネットでは、下図のように「バス型」で接続します。※スター型も論理的にはバス型です。

コンピュータAから、コンピュータEにデータを送る場合どのようにデータを送るのでしょうか?

ここで、皆さんが手紙を相手に送る時を思い出して下さい。

手紙を送る時には、宛先住所を書きますね!

宛先が分からなければ、どこに配送してよいのか、郵便屋さんが困ってしまいますよね。

コンピュータの通信においても宛先住所に該当する住所情報が必要です。

コンピュータによる通信では、手紙に書く際の宛先住所に該当するのが、IPアドレスになります。

 このIPアドレスは、ネットワークに参加する機器に全て固有なものが割り振られています。ここでは、LANを例に話をしていますが、WAN(インターネット)においても、このIPアドレスを宛先の住所情報として使用します。

 住所情報は、世界でユニークでなければなりません。つまり、重複しては意味がありません。同じ住所が複数ある場合、宛先を特定することができないからです。

IPアドレスでも、同じアドレスが複数存在してはならないというルールがあります。

また、IPアドレスは、階層的なアドレス体系になっています。

例えば、住所情報は、階層的なアドレス体系になっていますよね。

「東京ディズニーランド」の住所は、

千葉県浦安市舞浜1-1

という住所です。

「東京ディズニーランド」は千葉県の浦安市にあるのが分かります。

 「東京ディズニーランド」は、有名ですから、千葉にあるのは皆さんご存知だとは思いますが、仮にどこにあるのか分からない場合を考えてみましょう。この階層的なアドレス構造によって、日本全国から、「舞浜」を探さなくて済みますよね。千葉県だけを着目して、「舞浜」を探せばよいわけです。

 もしも、アドレス体系がフラットで、住所情報が「舞浜」しかないのであれば、「東京ディズニーランド」を探すのは至難の業です。

つまり、アドレス体系がフラットだと宛先に届けるのが、とても大変なのです。

そこで、IPアドレスでも宛先が、どの地域なのかを特定するためのネットワークアドレスというものが存在します。

 ここでは、IPアドレスは、宛先の住所情報としての役割を持っていると説明しましたが、効率的にデータを転送するための経路制御に関する役割も持っています。IPアドレスは、ネットワーク部とホスト部で構成されます。ネットワークアドレスが、経路制御に大きく関わってきます。

経路制御(ルーティング)

IPというプロトコルは、ネットワークで住所情報を提供するプロトコルです。

 IPアドレスは、ネットワーク部とホスト部で構成され、ネットワークアドレスを提供することで、広大で複雑なネットワーク内で、データを効率的に転送する経路制御に関する役割も担っています。

例えば、電子メールを送る場合を送る場合を考えてみます。

送信元から宛先までの経路上にはルータと呼ばれる機器が存在します。

ルータとは、どんな装置なんでしょうか?

道路が交わる交差点を思い出して下さい。

交差点には、何がありますか?

案内標識がありますよね。

ネットワークにおいては、経路の交わるところにルータが存在します。

ルータは、案内標識に該当する経路情報を持っています。

ルータは、届いたメールの宛先のネットワークアドレスを見てどの経路に送ったらよいのか判断して最適な経路に送り出します。

この仕組みを経路制御といいます。

送信元から宛先に届くまで

送信元から宛先まで、どのようにパケットがたどって行くのでしょうか?

ここでは、下の図を使って、パケットのたどる経路を説明して行きます。

コンピュータAからコンピュータBにデータを送る時を考えてみます。

送信元のコンピュータAは、宛先のコンピュータBのネットワークへの経路のことは考えません。

 コンピュータAが考えるのは、コンピュータBと同じネットワークに所属しているかどうかです。同じネットワークに所属しているかどうかは、自分に設定されているサブネットマスクの値から判断されます。サブネットマスクについては、後ほどのコンテンツで説明します。

 コンピュータAは、宛先のコンピュータBと同じネットワークに所属していないと判断し、最寄のルータ(デフォルトゲートウェイ)にパケットを送ります。

中継するルータは、できるだけ近道でコンピュータBが存在するネットワークへの経路を考え、転送して行きます。

 コンピュータBの参加しているネットワークのルータ以外は、コンピュータBのことは意識しません。あくまで、近道だけを考え転送に徹します。

 最終的に、コンピュータBの参加しているネットワークのルータがコンピュータBへパケットを届けます。 このように、不要なネットワークへパケットが流れないようになっており、宛先まで、最適なルートでパケットが送られます。