プロトコルとは
プロトコル(protocol)とは、広辞苑で、その意味を調べると
- 条約の原案、議定書
- 外交儀礼
- コンピューター‐システムで、データ通信を行うために定められた規約。情報フォーマット、交信手順、誤り検出法などを定める。
とあります。
なぜ、プロトコルがないと困るのでしょうか?
スポーツで例えてみます。
野球のルールを知らなければ、野球はできません。
また、対戦相手も野球のルールを知っていなければ、なりません。
こちらが、野球のルールで、対戦相手がサッカーのルールでプレイするのであれば、試合が成り立ちません。
つまり、お互いが、同じルールを使用しなければ、試合が成り立ちません。
実社会においても、プロトコル(約束事)がなければ、国同士が良い関係を結ぶことができません。政治、経済、貿易などで摩擦が生じてしまいます。
下手をすると、戦争を引き起こしてしまうかもしれません。両者が良い関係を結ぶには、両者間に約束事が必要です。
ネットワークの世界でも同じことが言えます。
お互いに同じルールに基づいて通信しなければ、通信が成り立ちません。

例えば、2台のコンピュータ間で、通信を行おうとする場合、事前に、たくさんの約束事(プロトコル)を取り決めておかないと通信できないのです。
- ケーブルの形状
- 電気信号
- コネクタの形状
- エラー訂正
これら、どれか1つでも欠けるだけで通信はできません。
プロトコル(約束事)は、たくさんあります。
例えば、シリアルポートの規格であるRS-232-C、モデムの規格であるV.90、V.34、ブロードバンド接続のADSL、FTTHなどです。LANで使用されるイーサネットもプロトコルです。
このように、様々な種類のプロトコルがあります。その中でも、インターネットやLANで最も普及して一般的に使われているのがTCP/IPプロトコルです。
ネットワークを理解する上で、TCP/IPプロトコルの理解は欠かせないものとなっております。後のコンテンツでTCP/IPプロトコルについて説明していきます。
異機種間接続が可能
上の「プロトコルとは」で説明したように、互いに通信を行うためには、プロトコル(約束事)を合わせておく必要があります。
今でこそ、TCP/IPプロトコルは、インターネット、LANのスタンダードになっていますが、一昔前までは、各メーカごとに約束事が違い、OS、メーカーが違えば通信できないことが当たり前でだったのです。

上図を見て下さい。お互いに、プロトコル(約束事)が違うわけですから、このままでは、通信することができません。
人間のコミュニケーションも同じです。日本語を使う日本人と英語を使うアメリカ人は、そのままでは、うまくコミュニケーションがとれないのと同じです。うまく、コミュニケーションをとるには、どちらかが相手の言語に合わせてしゃべるか、通訳が必要になってきます。
それは、通信の世界でも同じです。以下のプロトコルは、それぞれの機種同士の通信が前提になってしまいます。
| OS | プロトコル |
| Windows(IBM互換機) | NetBEUI |
| Macintosh | AppleTalk |
| Netware | IPX/SPX |
| UNIX,Linux | TCP/IP |
※各OSの最新バージョンでは、TCP/IPが標準になっています。
同じプロトコルを使用するコンピュータであれば、通信できますが、機種やOSの違えば通信できません。
ネットワークは、機種やOSの違いに関係なく、どんなコンピュータでもネットワークに参加できなければ、使い勝手が良くありません。そこで、機種やOSの違いに関係なく、どんなコンピュータでもネットワークに参加させることができるプロトコル、そTCP/IPが注目されたのです。
TCP/IPの歴史は古く、1960年に、米国国防総省の研究機関であるDARPA(Defence Advanced Research Project Agency)が、異機種間の通信を可能にするために定めたARPANET用の通信プロトコルです。
TCP/IPはあらゆる面でオープンであったため、TCP/IPは、インターネットのみならず、イーサーネットの標準プロトコルになっています。現在インターネットが広く普及した要因として、このTCP/IPの存在が挙げられます。TCP/IPは機種依存しない仕組みを持つので世界標準になっています。
TCP/IPは、事実上、インターネット、イーサネットでスタンダードになっていますが、実際のネットワークは、少々複雑です。現在でもメーカ独自のプロトコルを使用しているコンピュータが少なからずネットワークに存在します。その際、相互接続を行うには、ゲートウェイが必要になってきます。
代表的なプロトコルのまとめ
ネットワークプロトコルは、コンピュータネットワークにおける通信規約です。以下に、代表的なネットワークプロトコルをまとめて紹介します。
- TCP/IP:インターネットで利用されるプロトコル群の総称。IPアドレスを用いてネットワーク上の機器同士を接続し、TCPプロトコルを利用してデータの送受信を行う。
- HTTP:WebサーバーとWebクライアント間での通信に使用されるプロトコル。Webページの取得や送信に用いられる。
- FTP:ファイル転送プロトコル。ファイルのアップロードやダウンロードに用いられる。
- SMTP:電子メールの送信に用いられるプロトコル。
- POP3:電子メールの受信に用いられるプロトコル。
- IMAP:電子メールの受信に用いられるプロトコル。POP3とは異なり、メールサーバ上にメールを残すことができる。
- DHCP:ネットワーク上の機器に自動的にIPアドレスを割り当てるプロトコル。
- DNS:IPアドレスとドメイン名を対応させるためのプロトコル。
- SSL/TLS:インターネット上の通信を暗号化するためのプロトコル。Webサイトによく使用される。
- ICMP:ネットワーク上のエラー報告や、通信速度の調整などを行うためのプロトコル。
RFCとは
TCP/IPプロトコル体系の各プロトコルのほとんどは、RFC(Request For Comment)という名称の文書でまとめられています。
例えば
- IP ・・・ RFC 791
- TCP ・・・ RFC 793
- HTTP・・・ RFC 2616
- FTP ・・・ RFC 959
などがあります。
RFCは、IETFが標準化のための仕様を策定するために、一般に公開された文書でインターネット上で公開されています。

RFCの各文書は、IETFのWebサイトなどで閲覧することができます。
