Wi-Fi・ビームフォーミング

 通常、Wi-Fiで使われる電波には指向性がなく、全方向に広がっていきます。つまり、電波強度は方向による違いありません。

 Wi-Fiルータとスマートフォンタブレットなどのデバイスををつなぐ距離や障害物によって電波が届きにくい場所がでてきます。

ビームフォーミングという技術を使えば、この状況を改善することができます。

 ビームフォーミングとは、電波を特定の方向に向けて送信、または特定の方向から受信する技術です。特定の状況に合わせてアレイアンテナの放射を適応させることで、電波が飛ぶ方向を制御して、特定の方向へ集中させることができますす。

 障害物によって電波が届きにくい場所においてもビームフォーミングに対応したWi-Fiルータなら、子機側の位置や距離を判別して、電波を最適に届けることで、転送速度や安定性が向上します。

ビームフォーミングのメリット

 ビームフォーミングの注目すべきメリットは、壁や家具といった障害物の影響を受けにくい点です。デバイスとの距離だけでなく障害物の有無も検知することができます。

 デバイスに必要な適した強さの電波を発信することで、壁や家具などの障害物があっても安定した無線通信を実現します。

 また、無線LANルータから離れた場所であったとしても、通信速度が安定します。ビームフォーミングはデバイスに向けて、状況に最適な強さで電波を発信するため、無線LANルータから離れた場所となる2階やキッチンなどでも安定して無線通信することが可能です。

 これまで、家のあらゆる場所に中継器を配置しなければ、家中に電波を届けることができなかった環境でも、ビームフォーミングを使えば中継器の数を削減できる場合もあります。

 しかし、この無線の死角を減らすビームフォーミングですが、親機となるルータだけでなく、子機となるデバイス側も対応していなければ、恩恵を享受できません。

 子機となるデバイス側がビームフォーミング機能に非対応だと、ビームフォーミングが利用できないため、注意が必要です。