身近になったネットワーク

 今では、FTTH などのブロードバンドの常時接続が当たり前になっていますが、Windows95 以前のパソコンの利用方法は、スタンドアローン使うことがほとんどでした。

 MS-DOS(コマンドプロンプトのようなOS) 、Windows3.1 の時代でも、もちろん、ネットワーク接続ができたのですが、ネットワーク機能を使うユーザーは珍しかったのです。

しかし、Windows95 の登場により、この状況に変化が現れてきます。

補足:MS-DOS
 MS-DOS(Microsoft Disk Operating System)は、マイクロソフトが開発したパーソナルコンピュータ(PC)用のディスクオペレーティングシステム(DOS)です。MS-DOSは、1981年にIBM PC向けに発売され、その後、他のPCメーカーにも採用されるようになり、1980年代から1990年代にかけて、PC市場において主要なOSの一つとして広く利用されました。
MS-DOS
補足:Windows3.1
 Windows 3.1は、1992年にマイクロソフトが発売したパソコン用オペレーティングシステム(OS)です。Windows 3.1は、Windows 3.0の後継バージョンであり、DOS上で動作するアプリケーションをグラフィカルに操作できるようになるなど、多くの改善が加えられました。
Windows 3.1
補足:Windows95
 Windows 95は、マイクロソフトが1995年に発売したパソコン用オペレーティングシステム(OS)です。Windows 95は、MS-DOSの後継バージョンであり、新たにグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)やプラグ&プレイ機能を備え、多くの改善が加えられています。
Windows 95の特徴的な機能としては、以下のようなものが挙げられます。
Windows 95

 従来、ネットワーク機能を利用しようと思うと、その設定は、かなり難解で初心者にとって敷居の高いものでした。Windows95 では、『コントロールパネル』から『ネットワーク』プロパティの設定を行うだけで、簡単にネットワークの設定を行えるようになったのです。

 また、プラグアンドプレイ(PnP)機能により、パソコンとネットワーク機器との接続も、これまでと比べて飛躍的に簡単になりました。誰でも、簡単にインターネットに接続できるようになると同時に、インターネット接続の人気も高まり、インターネット接続サービスも充実していきました。

 プラグアンドプレイ(Plug and Play, PnP)と は、コンピューターの周辺機器を接続した際に、自動的にドライバーを認識してインストールし、設定を行うことができる機能です。PnP は、従来は手動でドライバーや設定を行う必要があったパソコン周辺機器の接続を簡単にし、ユーザーが自分で周辺機器のセットアップを行う必要をなくしました。PnP の機能は、Microsoft Windows オペレーティングシステムによって広く採用されるようになりました。PnP機能により、デバイスが自動的に検出され、適切なドライバーがインストールされるため、ユーザーは設定を行う必要がありません。新しい周辺機器を接続するたびに、ユーザーはドライバーを手動で探したり、設定を手動で変更する必要がなくなりました。

 従来、非常に高値であったインターネット接続も、インターネット接続サービス会社の新規参入、そして、価格競争で誰もがインターネットが利用できる時代になったのです。

 インターネットに接続するには、契約しているISPで指定された項目を設定していくようになります。この設定を間違いなく、正しく設定を行わなければ、ホームページの閲覧はもちろん、Mailなどもできません。

 下図を見て下さい。これは、「TCP/IPv4」のプロパティです。ネットワークのことを知らない方にとっては、ここに、不可解な、番号を入力しなければなりません。この設定が、実はネットワークの設定だということは分かっていても、プロトコルの設定をしていることだとは気付いていていないのです。

●TCP/IPv4のプロパティ

TCP/IPv4のプロパティ

ネットワークの設定は、ネットワークのことを知らない方にとっては、まるで「おまじない」です。

 この「おまじない」のような番号や文字を1文字も間違えなく、設定することで、やっと、インターネットに接続できるようになるのです。面倒といわれれば、それまでなのですが、これでも、以前と比べるとかなり設定が、かなり楽になったのです。様々な、設定ファイルを編集する必要もありません。

ネットワークの不可解な用語

 今では、OS側で用意されているウイザードのおかげで、不可解な用語があまり登場しなくなっています。また、ISPの接続マニュアルの出来がよくなっているので接続に対して、あまり困ったことはないでしょう。

●接続またはネットワークのセットアップ

接続またはネットワークのセットアップ

メールの設定も、ISPが提供してくれるマニュアルを参考にすれば簡単に接続できます。

インターネット接続では、最低でも以下の設定が必要になってきます。

  • ISPへの認証情報の設定
  • プライマリDNSサーバの指定
  • セカンダリDNSサーバの指定(任意)
  • IPアドレス
  • サブネットマスク
  • デフォルトゲートウェイ
  • SMTPサーバの指定
  • POP3サーバの指定

これらの設定を、全て間違いなく、設定しなければインターネットに接続することができません。

 ウイザード形式では、なるべくTCP/IPの不可解な用語をなるべ見せないで、初心者の方でも簡単に設定できるように敷居が低くされています。

 これから、ネットワークを学習しようと思う方にとっては、これらの用語や設定の意味を理解する必要があります。これらの意味を知ることにより、インターネットへの接続、LANの構築ができるようになるのです。

 ここで登場する用語や設定は、実は、ネットワークにおけるプロトコル(約束事)の一部です。ネットワークを学習するということは、このプロトコル(約束事)を学習し理解するということなのです。

インターネットの歴史

 インターネットの歴史は、1960年代にアメリカの国防総省が開発したARPANETから始まります。ARPANETは、複数のコンピューターをネットワークで接続することで、情報を共有することを目的としていました。当初は、軍事的な目的で使用されていましたが、後に教育や研究分野でも利用されるようになりました。

 1970年代には、ARPAネットを元にしてTCP/IPプロトコルが開発され、これがインターネットの基盤となりました。TCP/IPプロトコルは、ネットワーク上のデータを分割して転送することで、高速で信頼性の高い通信を実現することができます。

 1980年代には、ARPANETを中心にインターネットが急速に普及し、多くの大学や研究機関がネットワークに接続されるようになりました。また、1989年には、ティム・バーナーズ=リーによって、HTMLやHTTPといった技術を組み合わせた「World Wide Web」が発明され、これがインターネットの利用拡大につながりました。

 1990年代以降には、一般の人々にもインターネットが普及し、検索エンジンや電子メール、eコマース、SNSなどが次々と登場し、インターネットの利便性がさらに向上しました。

 現在、インターネットは世界中の人々にとって、情報収集やコミュニケーション、ビジネスなど、様々な分野で欠かせない存在となっています。

ARPANET

 ARPANETは、Advanced Research Projects Agency Networkの略で、1960年代にアメリカ国防総省高等研究計画局(ARPA)が開発した、初めてのパケット交換方式を採用したコンピューターネットワークです。ARPANETは、複数のコンピューターをネットワークで接続し、情報を共有することを目的としていました。

 ARPANETは、分散型のネットワークであり、中央集権的な管理を行わず、各ノードが対等な立場で通信を行うことができます。ARPANETでは、データをパケットと呼ばれる小さな単位に分割して転送し、複数の経路を通って目的地に到達するため、データの伝送に失敗した場合でも、別の経路を通ってデータを再送することができます。

 ARPANETは、軍事目的で開発されたため、耐障害性、セキュリティ、信頼性などが重視されていました。また、ARPANETの開発には、当時の主要なコンピューター研究者たちが参加しており、後にインターネットの基盤となるTCP/IPプロトコルの開発にもつながりました。

 ARPANETは、1970年代には、アメリカ国内の大学や研究機関がネットワークに参加し、インターネットの原型となりました。現在のインターネットは、ARPANETを基盤としたTCP/IPプロトコルを使用しており、ARPANETはインターネットの歴史において非常に重要な役割を果たしました。