VLANとは

VLANとは

 VLAN(Virtual Local Area Network)は、物理的なネットワークインフラストラクチャを論理的に分割するための技術です。VLANを使用すると、単一の物理ネットワーク上で複数の論理ネットワークを作成し、異なるグループのデバイスが相互に通信できるようにすることができます。

VLANを導入することで、以下のような利点があります。

  1. セキュリティ
     VLANを使用することで、ネットワーク上のデバイスを論理的に分離することができます。セキュリティ上の重要性が異なるデバイスをグループ化し、アクセス制御リスト(ACL)やファイアウォールを使用してトラフィックを制御することができます。
  2. パフォーマンス
     VLANを使用することで、トラフィックを論理的に分離することができます。これにより、ブロードキャストストームやユーザー間のトラフィック競合を減らし、ネットワークのパフォーマンスを向上させることができます。
  3. フレキシビリティ
     VLANを使用すると、物理的なネットワークトポロジに制約されずにデバイスをグループ化できます。物理的な場所に関係なく、論理的なグループを作成し、デバイスを迅速に移動、追加、変更できます。

 VLANは、スイッチやルータなどのネットワーク機器で設定および管理されます。スイッチでは、ポートごとにVLANメンバーシップを設定することができます。ポートが特定のVLANに所属する場合、そのポート上のデバイスはそのVLAN内で通信できます。ルータは、異なるVLAN間の通信をルーティングする役割を果たします。

 VLANの識別には、VLAN IDと呼ばれる番号が使用されます。これは12ビットの値で、通常は1から4094までの範囲で指定されます。また、特定のVLANを他のVLANとトランクリンク(トランクポート)で接続することもできます。トランクポートは、複数のVLANのトラフィックを1つの物理リンクで送信するためのポートです。

 最後に、IEEE 802.1Qは、VLANのための標準規格であり、VLANタグをネットワークフレームに追加するための方法を定義しています。これにより、ネットワーク上のデバイスがどのVLANに所属しているかを特定することができます。

VLANは、大規模なネットワークやセキュリティ要件の高い環境など、さまざまなシナリオで利用されています。

VLANの具体的な利用例としては、以下のようなものがあります。

  1. 部署ごとの分離
     VLANを使用して、企業内の異なる部署(営業、開発、経理など)を論理的に分離することができます。これにより、セキュリティの向上やトラフィックの制御が可能となります。
  2. ゲストネットワーク
     VLANを使用して、来客やパートナーなどのゲストユーザーがアクセスするためのネットワークを作成することができます。これにより、ゲストユーザーと内部ネットワークのリソースが分離され、セキュリティ上のリスクが軽減されます。
  3. ボイスネットワーク
     VLANを使用して、音声通信(VoIP)のための専用ネットワークを作成することができます。これにより、音声トラフィックの優先度を設定し、通話の品質を確保することができます。
  4. サーバーファーム
     VLANを使用して、サーバーとその他のネットワークリソースを分離することができます。これにより、サーバーへのアクセスを制御し、セキュリティを強化することができます。
  5. オーバーレイネットワーク
     VLANを使用して、異なる物理ネットワーク上にあるデバイスやサイトを論理的に接続することができます。これにより、地理的に分散したネットワークをシームレスに統合することができます。

 以上が、VLANの基本的な説明と利用例です。VLANは、ネットワークのセグメンテーションやセキュリティの向上、トラフィックの制御など、多くのメリットをもたらす技術として広く利用されています。