L2スイッチングとMACアドレステーブル
L2スイッチングとMACアドレステーブル
L2スイッチングとMACアドレステーブルについて説明します。
L2スイッチングは、データリンク層(L2)で動作するネットワークスイッチの基本的な動作方式です。L2スイッチは、Ethernetフレームを受信し、MACアドレスを使用してフレームの宛先を特定し、適切なポートにフレームを転送します。L2スイッチは、異なるネットワークセグメントを接続し、データの転送を効率的に行うために使用されます。

MACアドレステーブルは、L2スイッチがMACアドレスとポートの関連性を管理するために使用されるデータ構造です。スイッチは、受信したフレームの送信元MACアドレスを記録し、どのポートに接続されているかを関連付けます。この情報はMACアドレステーブルに格納されます。
スイッチが最初のフレームを受信すると、送信元MACアドレスと受信ポートの情報をMACアドレステーブルに追加します。以降、同じMACアドレスがフレームを送信するたびに、スイッチはMACアドレステーブルを参照して宛先ポートを特定します。MACアドレステーブルのエントリが見つかれば、フレームは対応するポートにのみ転送されます。エントリが見つからない場合は、フレームは全てのポート(ブロードキャスト)に転送されます。
MACアドレステーブルは動的に学習されます。スイッチは、ネットワーク上を通過するフレームからMACアドレスを抽出し、送信元MACアドレスと受信ポートの関連性を学習します。この学習プロセスにより、MACアドレステーブルはネットワーク内のホストとスイッチポートの正確なマッピングを維持します。
MACアドレステーブルは通常、一定のサイズ制限があります。テーブルが一杯になると、古いエントリが新しいエントリに上書きされる場合があります。また、MACアドレステーブルはスイッチを再起動するとクリアされるため、ネットワーク上のホストが通信を再確立する際に再学習が行われます。
MACアドレステーブルはL2スイッチングにおいて重要な役割を果たし、ネットワークトラフィックの転送を高速かつ効率的に行うための基盤となります。
MACアドレステーブルはL2スイッチ内で保持されますが、その具体的な実装はスイッチの製造元やモデルによって異なる場合があります。一般的には、CAM(Content-Addressable Memory)またはTCAM(Ternary Content-Addressable Memory)と呼ばれる高速なハードウェアメモリが使用されます。
MACアドレステーブルのエントリは、通常、以下の情報を含みます。
- MACアドレス
ホストのネットワークインターフェースに関連付けられた一意の識別子であり、48ビットの値です。 - VLAN ID(仮想LAN ID)
マルチVLAN環境で使用され、フレームが所属する仮想LANを示すために使用されます。 - ポート番号
スイッチ上の物理ポートや論理ポート(VLANインターフェース)の識別子です。
MACアドレステーブルの更新は、以下の2つの方法で行われます。
- 自動学習(Auto-learning)
スイッチがネットワーク上のフレームを監視し、送信元MACアドレスと受信ポートの関連性を自動的に学習します。フレームを受信すると、スイッチは送信元MACアドレスと受信ポートの組み合わせをテーブルに追加します。 - 静的な設定
管理者が手動でMACアドレスとポートの関連性を設定することもあります。これにより、特定のMACアドレスを特定のポートに強制的に関連付けることができます。
L2スイッチは、MACアドレステーブルを使用してフレームの転送を制御します。フレームが到着すると、スイッチは宛先MACアドレスをテーブルで検索し、対応するポートにフレームを転送します。宛先MACアドレスがテーブルに存在しない場合は、フレームをすべてのポート(ブロードキャスト)に転送します。
MACアドレステーブルは、ネットワーク内のトラフィックパターンに基づいて動的に更新されます。ホストが新しいフレームを送信するたびに、スイッチはテーブルを更新し、新しいエントリを追加します。また、一定の時間経過後にテーブルのエントリを削除することもあります。これにより、ネットワーク上のホストの移動や接続の変更に対応することができます。
MACアドレステーブルは、L2スイッチの効率的なデータ転送とスイッチング性能を実現するために重要な要素です。正確なMACアドレスとポートのマッピング情報を保持することで、スイッチはネットワークトラフィックを正確に制御し、フレームの転送を効率的に行います。