変調方式:一時変調・二次変調

変調方式:一時変調・二次変調

 一時変調(Modulation)と二次変調(Modulation)は、無線通信におけるデータの送信方法を表す重要な概念です。それぞれの変調方式について詳しく説明します。

一時変調(Modulation)

一時変調は、データを電波として送信するために情報をキャリア波の特定のパラメータに変換するプロセスです。主な一時変調方式には以下のようなものがあります:

  1. BPSK(Binary Phase Shift Keying)
     BPSKは、2進データ(0と1)を表す位相シフトを使用して変調する方式です。キャリア波の位相が変化し、0と1のビットを表現します。
  2. QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)
     QPSKは、4つの位相状態を使用してデータを変調します。それぞれの位相状態は2ビットを表現し、複数のビットを同時に送信することができます。
  3. 16QAM(16-Quadrature Amplitude Modulation)
     16QAMは、4つの位相状態と4つの振幅レベルを組み合わせてデータを変調します。これにより、1つのシンボルで4ビットを表現することができます。
  4. 64QAM(64-Quadrature Amplitude Modulation)
     64QAMは、6つの位相状態と4つの振幅レベルを組み合わせてデータを変調します。1つのシンボルで6ビットを表現することができます。
  5. 256QAM(256-Quadrature Amplitude Modulation)
     256QAMは、8つの位相状態と4つの振幅レベルを組み合わせてデータを変調します。1つのシンボルで8ビットを表現することができます。

 これらの一時変調方式は、異なるビットレートと伝送効率を提供します。ビットレートが高いほど、より多くの情報を単位時間で送信することができますが、同時にノイズの影響を受けやすくなります。

二次変調(Modulation)

  二次変調は、データの送信中にノイズに対する耐性を向上させるための手法です。無線LANの二次変調方式には、以下のようなものがあります:

  1. DSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)
     DSSSは、データビットを拡散符号(スペクトラム拡散)に変換して送信します。これにより、データは広い帯域に広がり、ノイズによる影響を分散させます。DSSSは安定性が高く、ノイズに対して強いですが、低速なデータ転送に使用されます。
  2. OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)
     OFDMは、データを複数のサブキャリア波に分割し、それらを同時に送信する方式です。各サブキャリア波は直交しており、周波数の重なりを最小限に抑えることで、相互干渉や多径伝搬の影響を軽減します。OFDMは高速なデータ転送に適しており、無線LANの主要な変調方式として広く使用されています。
  3. MIMO-OFDM(Multiple Input Multiple Output – Orthogonal Frequency Division Multiplexing)
     MIMO-OFDMは、複数の送信アンテナと受信アンテナを使用して、複数のデータストリームを同時に送信および受信する技術です。これにより、高速なデータ転送とより高い信号品質を実現します。

 これらの二次変調方式は、高速かつ安定したデータ転送を実現するためにノイズに対する耐性を向上させます。無線LANの規格(例:IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax)によって、特定の変調方式が選択され、データの送受信が行われます。