イーサネットⅡ規格:DEC社・Xerox社・Intel社

イーサネットⅡ規格:DEC社・Xerox社・Intel社

イーサネットⅡ規格とDEC(Digital Equipment Corporation)社、Xerox社、Intel社との関係について解説いたします。

 イーサネットは、1970年代にDEC社とXerox社が共同開発し、後にIntel社も参加したネットワーク技術です。これらの企業はイーサネットの普及と発展に重要な役割を果たしました。

 DEC社は初期のイーサネット技術を開発し、1976年に最初のイーサネット規格である”Ethernet Blue Book”を公開しました。DEC社はイーサネットの商用化を促進し、その技術を自社の製品に取り入れました。

 Xerox社はDEC社と協力してイーサネットを開発し、1979年には自社の研究所であるXerox PARC(パロアルト研究所)でイーサネットを実用化しました。Xerox PARCでは、イーサネットの重要な機能やプロトコルの開発が行われ、イーサネットの技術的な基盤を築きました。

 Intel社は、1980年代初頭にイーサネットに参入し、ネットワークインターフェースカードやイーサネットコントローラなどの製品を開発しました。Intel社の技術と製品の普及により、イーサネットの広がりと普及に大きく貢献しました。

 これらの企業は、1982年には共同でIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)にイーサネット標準の策定を依頼し、IEEE 802.3として標準化されました。IEEE 802.3は、物理層とデータリンク層の規格を定め、異なるネットワーク機器が互換性を持ち、同じイーサネットネットワーク上で通信できるようにしました。

 イーサネットⅡ規格は、このIEEE 802.3規格の1つとして認識されています。イーサネットⅡは、上記の企業が初期に開発したイーサネットのフレームフォーマットやプロトコルを基にしています。そのため、イーサネットⅡは初期のイーサネット規格としての遺産を持ち、現在でも広く使用されています。

 なお、後にIEEE 802.3規格はさまざまなバージョンに進化し、異なるデータレートや物理メディアに対応するための改訂が行われました。これにより、異なる速度や伝送メディアをサポートするイーサネット規格が標準化されました。代表的なIEEE 802.3のバージョンには、以下のようなものがあります。

  • 10BASE-T: 10 Mbpsのデータレートをサポートし、銅製のツイストペアケーブルを使用します。この規格は、一般的な家庭やオフィスのネットワークで使用される最初のイーサネット規格でした。
  • 100BASE-TX
     100 Mbpsのデータレートをサポートし、銅製のツイストペアケーブルを使用します。この規格は、高速イーサネットとして広く普及し、家庭やオフィスのネットワークでよく使用されます。
  • 1000BASE-T
     1 Gbpsのデータレートをサポートし、銅製のツイストペアケーブルを使用します。この規格は、ギガビットイーサネットとして知られ、ネットワークの高速化に貢献しました。
  • 10GBASE-T
     10 Gbpsのデータレートをサポートし、銅製のツイストペアケーブルを使用します。この規格は、高速ネットワークの要求に対応するために開発されました。

 これらのバージョンはIEEE 802.3規格の一部であり、イーサネットネットワークの標準化と相互運用性を確保する役割を果たしています。イーサネット規格は、データリンク層と物理層の両方を規定するため、異なるハードウェアやネットワーク構成でも互換性が保たれるようになっています。

 一般的なネットワーク環境では、イーサネットⅡが広く使用されており、IEEE 802.3の他の規格は特定の用途や要件において使用されることがあります。しかし、互換性や普及度を考えると、イーサネットⅡが一般的な選択肢となります。