WANとは

WANとは

 WAN(Wide Area Network)は、広域ネットワークとも呼ばれ、地理的に広範囲にわたる通信インフラで接続されたコンピュータネットワークのことを指します。WANは、複数の地理的に離れた場所にあるローカルエリアネットワーク(LAN)やメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)を相互接続し、データ通信を実現します。

WANは、インターネットや企業のワイドエリアネットワーク、通信会社のネットワークなど、さまざまな環境で使用されます。例えば、企業が複数の拠点間でデータやリソースを共有するためにWANを利用したり、インターネットサービスプロバイダ(ISP)が複数の地域をカバーするためにWANを構築したりすることがあります。

WANは、通信回線やネットワーク機器を使用して接続されます。通信回線には、光ファイバーケーブル、専用線、衛星リンク、無線などが使用されます。ネットワーク機器には、ルーター、スイッチ、モデムなどが含まれます。これらの機器は、データの転送やルーティング、セキュリティなどの機能を提供し、WANの正常な運用を可能にします。

WANの典型的な構成を表現したものが下図です。

 この図では、2つの拠点(Site 1とSite 2)がWANで相互接続されていることを示しています。それぞれの拠点には、ルーターが配置され、WANの接続を提供しています。データはSite 1のルーターからWANを介してSite 2のルーターに送信されます。

 実際のWANは、通常はこの構成よりも複雑であり、さまざまな拠点やネットワーク機器が含まれる場合があります。ただし、この構成図は基本的な概念を示すためのものであり、WANの全体像を正確に表現するものではありません。

WANの特徴

WANの主な特徴は以下のとおりです。

  1. 長距離通信
     WANは、地理的に広範囲にわたる通信を提供します。数十キロメートルから数千キロメートルにわたる通信距離をカバーすることができます。
  2. 低速なリンク
     WANでは、通信回線の遅延や帯域幅の制約などにより、通信速度がLANに比べて低下する場合があります。しかし、技術の進歩により、高速なWAN接続も可能になっています。
  3. セキュリティとプライバシー
     WANは、複数の拠点やユーザーを接続するため、セキュリティとプライバシーの保護が重要です。暗号化やファイアウォールなどのセキュリティ対策が必要です。
  4. プロトコルとルーティング
     WANでは、さまざまなプロトコルとルーティング技術が使用されます。プロトコルは、データ通信のためのルールや規約を定義し、データの送受信を可能にします。一般的には、インターネットプロトコルスイート(TCP/IP)が広く使用されます。

WANの利点

WANの利点には、以下のようなものがあります:

  1. 地理的な柔軟性
     WANは地理的に離れた場所を接続できるため、企業や組織が拠点間でデータやリソースを共有し、リモートアクセスを提供することができます。
  2. リソース共有
     WANを使用すると、複数の拠点で共有リソース(データベース、ファイルサーバーなど)を効率的に利用できます。これにより、生産性が向上し、情報の一元管理が可能になります。
  3. 拡張性
     WANは拠点の増加やユーザーの増加に柔軟に対応できます。新しい拠点やユーザーを追加する際には、既存のWANインフラストラクチャを活用することができます。
  4. インターネットへの接続
     WANを使用すると、企業や組織はインターネットに接続することができます。インターネットを介して情報やサービスにアクセスすることができ、グローバルなコミュニケーションやビジネスの展開が可能になります。

 WANは、現代のネットワークインフラストラクチャにおいて重要な役割を果たしており、地理的な制約を克服し、情報の共有とコミュニケーションの効率化を実現します。