RFCとは

RFCとは

 RFC(Request for Comments)とは、インターネット上のプロトコルや技術仕様に関するドキュメントの形式の1つです。RFCは、主にIETF(Internet Engineering Task Force)によって策定され、その他の標準化団体や企業もRFCを発行することがあります。

 RFCは、新しい技術や仕様を提案し、議論を促し、最終的には規格化されることを目的としています。RFCは、プロトコルや仕様の設計や実装に関する詳細な情報を提供し、関連する技術分野において広く参照されることがあります。

 RFCは、通常は数字で識別されます。RFCの数字は、発行された順序に基づいて割り当てられます。たとえば、最初のRFCであるRFC 1は、1969年の発行にさかのぼります。RFCは、定期的に更新されることがあり、同じ番号のRFCが複数のバージョンで発行されることがあります。

 RFCの内容は、通常、標準的なテキスト形式で書かれています。RFCは、公開され、誰でも自由に閲覧できます。RFCの利用は、技術者や研究者の間で広く一般的ですが、一般の人々にも重要な役割を果たしています。RFCには、インターネット技術の発展に貢献した多くの人々の貢献が示されています。

RFCの制定プロセス

RFCが策定されるまでの一般的なプロセスは以下の通りです。

  1. 問題の特定
     技術者や研究者は、新しい技術やプロトコルの必要性を特定します。これは、既存の技術に対する改善、新しい要件の実装、または問題の解決などの理由があることがあります。
  2. 提案の作成
     問題が特定された後、技術者や研究者は、問題に対する提案を作成します。この提案には、技術的な詳細、使用目的、利点、欠点、セキュリティ上の懸念事項、その他の関連情報が含まれる場合があります。
  3. コミュニティのレビュー
     提案が作成された後、技術者や研究者は、提案をコミュニティに送信し、レビューを受けます。レビュアーは、提案についてのフィードバックや提案の改善についての提言を提供することがあります。
  4. 標準化
     提案がコミュニティからのフィードバックを受けた後、技術者や研究者は、提案を標準化するための最終的な改善を行います。改善が完了したら、提案はRFCとして公開されます。
  5. 採用
     RFCが公開されると、技術者や研究者は、RFCを採用して新しい技術やプロトコルを実装することができます。このプロセスは、RFCが広く受け入れられ、広く使用されるようになるまで続くことがあります。

 以上が、RFCが策定されるまでの一般的なプロセスです。ただし、プロセスは場合によって異なることがあり、特定の標準化団体や企業によって異なる場合があります。

代表的なRFC

代表的なRFCには、以下のようなものがあります。

RFC番号RFC名説明
RFC 791インターネット・プロトコル(IP)の仕様書インターネットの基礎的な通信プロトコルであるIPの仕様書。
RFC 793トランスポート・コントロール・プロトコル(TCP)の仕様書インターネットの通信プロトコルの1つであるTCPの仕様書。
RFC 822電子メールの標準的な形式であるメッセージ形式の仕様書電子メールのメッセージ形式の標準仕様書。
RFC 2822電子メールの更新された標準であるメッセージ形式の仕様書電子メールのメッセージ形式の更新された標準仕様書。
RFC 2616HTTP(Hypertext Transfer Protocol)の仕様書インターネット上でのWebブラウジングやWebサーバーとの通信に使用されるHTTPの仕様書。
RFC 6749OAuth 2.0の仕様書Webサービス間の認証と認可のためのプロトコルであるOAuth 2.0の仕様書。
RFC 821Simple Mail Transfer Protocol(SMTP)の仕様書電子メールを送信するためのプロトコルであるSMTPの仕様書。
RFC 1035Domain Name System(DNS)の仕様書ドメイン名をIPアドレスに変換するための仕組みであるDNSの仕様書。
RFC 1968GSS-API(Generic Security Service Application Program Interface)の仕様書異なるセキュリティ機構を統一的に扱うためのAPIであるGSS-APIの仕様書。
RFC 2104HMAC(Hash-based Message Authentication Code)の仕様書メッセージ認証に用いる暗号学的ハッシュ関数であるHMACの仕様書。
RFC 1928SOCKSプロトコルのバージョン5の仕様書プロキシサーバと通信するためのプロトコルであるSOCKSのバージョン5の仕様書。
RFC 1996DNS NOTIFYの仕様書DNS拡張メカニズムの一部であるDNS NOTIFYの仕様書。
RFC 3261Session Initiation Protocol(SIP)の仕様書VoIP(Voice over IP)の信号制御プロトコルであるSIPの仕様書。
RFC 4251Secure Shell(SSH)プロトコルのアーキテクチャの仕様書ネットワーク上のコンピュータに安全にログインするための暗号化通信プロトコルであるSSHの仕様書。
RFC 1945HTTP/1.0の仕様書インターネット上でのWebブラウジングやWebサーバーとの通信に使用されるHTTPの1.0の仕様書。
RFC 959File Transfer Protocol(FTP)の仕様書ファイルの転送に使用されるプロトコルであるFTPの仕様書。
RFC 2617HTTP認証の仕様書HTTPで認証を行うための仕様書。
RFC 2821Simple Mail Transfer Protocol(SMTP)の更新された標準仕様書電子メールを送信するためのプロトコルであるSMTPの更新された標準仕様書。
RFC 5246Transport Layer Security(TLS)プロトコルの仕様書セキュアな通信を実現するためのプロトコルであるTLSの仕様書。
RFC 2828インターネットセキュリティ用語集インターネットセキュリティに関連する用語を定義する語集。
RFC 959File Transfer Protocol(FTP)の仕様書ファイルの転送に使用されるプロトコルであるFTPの仕様書。
RFC 768ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)の仕様書インターネット上での通信に使用されるUDPの仕様書。
RFC 793トランスポート・コントロール・プロトコル(TCP)の仕様書インターネットの通信プロトコルの1つであるTCPの仕様書。
RFC 959File Transfer Protocol(FTP)の仕様書ファイルの転送に使用されるプロトコルであるFTPの仕様書。
代表的なRFC

RFCの各文書は、IETFのWebサイトなどで閲覧することができます。

https://www.ietf.org/

 上記の表に挙げたRFCは、それぞれインターネットにおける様々なプロトコルや技術の仕様書を定義しています。これらのRFCは、インターネットの発展に大きく貢献しており、現在でも広く使われています。

 例えば、RFC 822やRFC 2822は、電子メールの標準形式であるメッセージのフォーマットについて定義しています。RFC 1034やRFC 1035は、インターネットにおけるドメイン名システム(DNS)の仕様書を定義しています。また、RFC 2616(後にRFC 7230-7237で置き換えられた)は、HTTPの1.1の仕様書であり、Webブラウジングにおいて最も広く使用されています。

 これらのRFCは、インターネット技術の発展に欠かせないものであり、現在でもRFCの定義に関する活発な議論が続いています。