ローミング

ローミング

 無線アクセスポイント(AP)ローミングとは、移動しながら無線LANに接続している場合に、APの範囲を超える際に自動的に別のAPに接続することを指します。ローミングは、移動中に接続を失わず、サービスの継続性を確保するために重要な機能です。

ローミングには、以下のような手順が含まれます。

1.スキャン
 クライアントデバイスは、周囲にあるAPを探し、信号レベルやその他の情報を収集します。

2.決定
クライアントデバイスは、現在のAPと新しいAPの間の信号レベルや品質の比較を行い、最適なAPを決定します。

3.再認証
クライアントデバイスは、新しいAPに再認証を行い、そのAPに接続します。

 ローミングは、無線LANの信号強度によって自動的に行われることが一般的です。例えば、オフィス内で歩きながらスマートフォンを使用している場合、最初のAPから遠ざかっていくと、スマートフォンは次のAPに接続し、サービスの継続性を確保します。

ローミングの際には、以下のような注意点があります。

1.セキュリティ
 ローミングは、セキュリティに懸念があるため、クライアントデバイスが自動的に別のAPに接続することを許可する前に、ユーザーに確認を求める場合があります。

2.品質
 APの品質や信号レベルによってローミングの体験が異なります。特に、混雑した環境では、多くのクライアントデバイスが同時にAPを切り替えるため、接続が不安定になる可能性があります。

3.バッテリー消費
 ローミングは、クライアントデバイスのバッテリーを消費します。多くの場合、ローミングを減らすために、クライアントデバイスはAPの信号レベルを定期的にチェックしますが、このプロセス自体がバッテリーを消費する可能性があります。

 無線LANのローミングは、移動しながらインターネットに接続するための重要な機能であり、モバイルデバイスの普及に伴い、ますます重要性が高まっています。ローミングは、クライアントデバイスがAPに接続されている時間を最小限に抑え、移動中でもユーザーがインターネットに接続し続けることができるようにします。また、複数のAPが設置された場所では、ローミングを使用することで、各APの利用率を均等にすることができます。

 ただし、ローミングが必要ない場合、クライアントデバイスは常に同じAPに接続することもできます。例えば、デスクトップPCが常にオフィス内の同じ場所にある場合、ローミングは必要ありません。この場合、クライアントデバイスは常に同じAPに接続するように設定されることが多いです。

 最近の無線LAN規格では、ローミング機能が改善され、よりシームレスな移動体験を提供するようになっています。例えば、802.11rは、クライアントデバイスが別のAPに接続する際の再認証時間を短縮することで、ローミングの速度を向上させます。また、802.11kは、クライアントデバイスが自動的に最適なAPに接続するための情報を提供することで、ローミングの精度を向上させます。