メッセージ認証

メッセージ認証

 メッセージ認証は、メッセージの送信者が正しいことを確認するための技術です。メッセージ認証は、メッセージに対して秘密鍵を用いてハッシュ関数を適用し、メッセージに対するメッセージ認証コード(MAC)を生成します。MACは、メッセージと共に送信され、メッセージの受信者はメッセージと同じ鍵を用いてMACを生成し、送信者の生成したMACと照合することで、メッセージの送信者が正しいことを確認します。

 メッセージ認証は、秘密鍵を用いてMACを生成するため、秘密鍵が知られていない限り、MACを改ざんすることはできません。これにより、メッセージ認証はメッセージの完全性と認証を保証します。

 メッセージ認証には、HMAC(Hash-based Message Authentication Code)やCMAC(Cipher-based Message Authentication Code)などのアルゴリズムがあります。HMACは、ハッシュ関数と秘密鍵を用いてMACを生成するアルゴリズムで、SHA-2やSHA-3などのハッシュ関数と併用されます。CMACは、ブロック暗号を用いてMACを生成するアルゴリズムで、AESなどのブロック暗号と併用されます。

 メッセージ認証は、主に通信において、送信者が正当なものであることを確認するために使用されます。例えば、SSL/TLSにおいては、通信の暗号化だけでなく、メッセージ認証によって通信の完全性を確保しています。また、電子メールにおいても、S/MIMEなどの暗号化技術と併用して、メッセージ認証によってメールの送信者を確認することができます。

 また、メッセージ認証は、パスワード認証やデジタル署名などの技術でも使用されます。例えば、パスワード認証においては、パスワードを秘密鍵としてHMACを生成し、認証に使用します。デジタル署名においては、署名者が秘密鍵を用いてメッセージに対するMACを生成し、署名に使用します。これによって、メッセージの完全性と署名者の認証を保証します。

 しかし、メッセージ認証には、秘密鍵を共有する必要があるため、鍵の管理に問題が生じる場合があります。また、秘密鍵が漏洩した場合、メッセージ認証が完全に崩れてしまいます。そのため、鍵の管理や漏洩対策などが重要になってきます。

 最近では、公開鍵認証や電子署名などの技術が発展し、秘密鍵の共有が不要な技術も登場しています。しかし、メッセージ認証は依然として、通信や認証において重要な役割を担っています。