メッセージ認証符号

メッセージ認証符号

 メッセージ認証符号(MAC)は、メッセージの認証に使用される技術の一つで、秘密鍵を用いてメッセージに対する固定長のデジタル署名を生成します。MACは、メッセージの完全性と送信者の認証を保証するために使用されます。

 MACは、ハッシュ関数と秘密鍵を用いて計算されます。具体的には、秘密鍵を鍵としてハッシュ関数にメッセージを入力し、固定長のMACを生成します。MACは、メッセージと共に送信され、受信者は同様に秘密鍵を使用してMACを再計算し、受信したMACと比較します。一致した場合、メッセージの完全性と送信者の認証が保証されたとみなせます。

 MACにはいくつかの種類があります。代表的なものに、HMAC(Keyed-Hash Message Authentication Code)、CMAC(Cipher-based Message Authentication Code)、GCM(Galois/Counter Mode)があります。HMACは、MD5やSHA-1などのハッシュ関数を使用し、CMACは、AES暗号を使用します。GCMは、暗号化と認証を同時に行えるため、TLSやIPsecなどの通信プロトコルで広く使用されています。

 MACは、秘密鍵を共有する必要があるため、鍵の管理に問題が生じる場合があります。また、秘密鍵が漏洩した場合、MACが完全に崩れてしまいます。そのため、鍵の管理や漏洩対策などが重要になってきます。最近では、公開鍵認証や電子署名などの技術が発展し、秘密鍵の共有が不要な技術も登場しています。

 また、MACにはいくつかの攻撃手法が存在します。例えば、ハッシュ関数の弱点を突いた攻撃や、MACの短さを利用した攻撃などがあります。そのため、安全性を確保するために、より強力なハッシュ関数や暗号アルゴリズムを使用することが必要となります。

 また、MACは、送信者の認証を保証するための技術であるため、秘密鍵が漏洩した場合には、メッセージの送信者が偽装される可能性があります。そのため、メッセージの送信者を確認するために、デジタル署名などの技術を併用することが推奨されます。

 MACは、暗号通信におけるセキュリティ保護の一つとして、幅広く使用されています。特に、TLSやIPsecなどの通信プロトコルでは、MACが重要な役割を果たしています。また、ファイルやデータベースなどの整合性を確認するためにも、MACが使用されることがあります。