水飲み場型攻撃

水飲み場型攻撃

 水飲み場型攻撃(Watering hole attack)とは、攻撃者が特定のWebサイトを標的として、そのWebサイトを訪れるユーザーを攻撃する手法のことを指します。

 一般的には、特定の業界や分野に関連するWebサイトを標的とします。例えば、研究者や技術者が多く利用する技術系のWebサイトや、政府機関や軍関係のWebサイトが標的になることが多いです。

 攻撃者は、標的とするWebサイトの脆弱性を突いてWebサイト上にマルウェアを仕掛けます。そして、そのWebサイトを訪れたユーザーに対してマルウェアを感染させます。

 水飲み場型攻撃は、ユーザーが訪問するWebサイトが正規のWebサイトであるため、セキュリティ対策が不十分な場合は感染のリスクが高くなるという特徴があります。また、攻撃者は、標的のWebサイトを特定するために長期間にわたって情報収集を行うことがあり、精度の高い攻撃が可能となることも特徴的です。

 水飲み場型攻撃に対する対策としては、セキュリティ対策ソフトウェアの導入や、Webブラウザのセキュリティ設定の見直しなどが挙げられます。また、特定のWebサイトへのアクセスを制限することも有効な対策の一つです。

 水飲み場型攻撃は、一度攻撃者がシステムに侵入してしまえば、複数のシステムを攻撃できるため、攻撃者にとっては非常に効果的な攻撃手法です。一度侵入した攻撃者は、システム内の多数のノード、特に管理者アカウントにアクセスできるようなノードを攻撃し、システム内にさらにバックドアを設置することができます。そのため、水飲み場型攻撃は、企業や組織にとって大きな脅威となります。

 この攻撃手法を防ぐためには、適切なセキュリティ対策が必要です。まず、システムへのアクセス制御を強化し、不要なポートやサービスを閉じることが重要です。また、脆弱性のあるシステムやアプリケーションを最新のパッチで更新することも重要です。さらに、セキュリティソフトウェアを導入し、不正なアクセスを検知することも有効です。また、セキュリティ意識の高い社員の教育も欠かせません。

水飲み場型攻撃には、主に以下のような対策が考えられます。

  1. セキュリティ意識の向上
     水飲み場型攻撃は、攻撃者がターゲットを限定し、細かな調査を行っているため、社員のセキュリティ意識を高めることが必要です。具体的には、社員に向けたセキュリティ教育や、セキュリティポリシーの策定・周知徹底などが挙げられます。
  2. ネットワーク監視の強化
     水飲み場型攻撃は、社員のコンピューターから外部のC&Cサーバーに通信を行うことが多いため、ネットワークの通信を監視することが有効です。具体的には、脅威検知システムやセキュリティインシデントの早期検知・対応体制の構築が必要です。
  3. パッチ管理の徹底
     水飲み場型攻撃は、既知の脆弱性をついて侵入してくることが多いため、システムの脆弱性を修正するためのパッチ管理が必要です。具体的には、パッチの自動適用やシステムの脆弱性診断などが挙げられます。
  4. アクセス制御の強化
     水飲み場型攻撃は、内部からの情報漏えいが多いため、アクセス制御の強化が有効です。具体的には、必要最小限の権限付与や、不正なデータの転送・外部へのアクセスを制限することが必要です。
  5. セキュリティ製品の活用
     水飲み場型攻撃は、従来のマルウェアと異なり、攻撃を実行するコードが脆弱性を突くため、従来のウイルス対策ソフトでは防ぎきれない場合があります。そのため、高度な脅威を検知するセキュリティ製品の導入が有効です。具体的には、EDR(Endpoint Detection and Response)やNGFW(Next Generation Firewall)などが挙げられます。