ソルト

ソルト

 事前計算攻撃は、ハッシュ関数のような不可逆暗号アルゴリズムを破るために、事前に計算された一連のハッシュ値を使用して、オリジナルのデータを推測する攻撃です。この攻撃に対する対策の1つは、ハッシュされるデータにランダムでユニークな文字列を付加する「ソルト(salt)」を使用することです。

 ソルトは、ランダムで予測不可能な文字列であり、ハッシュ化される前に元のデータに追加されます。これにより、攻撃者が事前計算済みのハッシュテーブルを使用してオリジナルのデータを特定することができなくなります。攻撃者は、個々のユーザーのパスワードごとに異なるソルトが使用されるため、攻撃対象のパスワードを個別に攻撃する必要があります。

 ソルトは、パスワード以外のデータのハッシュ値を計算する際にも使用される場合があります。これにより、攻撃者は、同じデータに対して異なるハッシュ値を生成するため、攻撃対象が同じデータを使用していることを特定することが困難になります。

 一般的に、ソルトは、ユーザーごとにランダムに生成され、パスワードデータとともにデータベースなどの永続的なストレージに保存されます。しかし、ソルトが公開された場合、攻撃者は事前計算済みのハッシュテーブルを再び使用できるため、適切なセキュリティ手順が必要です。

 ソルトはランダムなデータをパスワードに加えることで、同じパスワードでも異なるハッシュ値が生成されるようにすることができます。これによって、攻撃者が事前に計算したハッシュテーブルを使用してパスワードを推測することを難しくすることができます。

 また、より強力な暗号化アルゴリズムを使用することも重要です。パスワードのハッシュ化には、一方向ハッシュ関数ではなく、より強力な暗号化アルゴリズムであるbcryptやscryptなどの関数を使用することが推奨されます。

 さらに、ユーザーに強力なパスワードを設定するように促すことも重要です。強力なパスワードは、より多くの組み合わせを必要とするため、総当たり攻撃の成功率を減らすことができます。さらに、パスワードの定期的な変更を促すことも重要です。定期的な変更により、攻撃者が長期的に同じパスワードを使用して攻撃することを防ぐことができます。

 また、2要素認証のような追加の認証方法を使用することも考慮すべきです。2要素認証では、何かを知っている(パスワード)と何かを持っている(スマートフォンなどの認証アプリ)の両方が必要となるため、攻撃者がパスワードだけを盗み出したとしても、アカウントへのアクセスを制限することができます。