クロスサイトリクエストフォージェリ

クロスサイトリクエストフォージェリ

 クロスサイトリクエストフォージェリ(Cross-Site Request Forgery、CSRF)とは、Webアプリケーションの脆弱性の一つで、攻撃者が被害者のアカウントを不正に操作することができる攻撃手法です。

 CSRF攻撃は、攻撃者が被害者を騙して、被害者が操作するWebサイトに不正なリクエストを送信することで実現されます。具体的には、攻撃者は被害者に対して、不正なリンクを送信したり、不正なフォームを表示したりすることで、被害者がクリックしたり送信したりすることを誘導します。そして、攻撃者が用意した不正なリクエストが送信され、被害者のアカウントが不正に操作されるという仕組みです。

 例えば、銀行のWebサイトにおいて、攻撃者が被害者に対して不正なリンクを送信し、クリックさせることで、被害者が自分の銀行口座からお金を引き出してしまう、といった攻撃があります。

 CSRF攻撃の原因は、Webアプリケーションが正しい認証を行っていないことにあります。攻撃者は、被害者がWebアプリケーションにログインしている状態を利用して、不正なリクエストを送信することができます。Webアプリケーションは、リクエストを受信した時にはそのリクエストが正当なものかどうかを判断する必要がありますが、CSRF攻撃では攻撃者が正当なリクエストを模倣することで、Webアプリケーションはリクエストを正当なものと認識してしまいます。

CSRF攻撃を防ぐためには、以下のような対策が必要です。

  1. CSRFトークンの使用
     Webアプリケーションは、フォームの送信時にCSRFトークンを含めることで、リクエストが正当なものかどうかを判断することができます。CSRFトークンは、Webサーバーが生成するランダムな値であり、セッションと関連付けて送信されます。攻撃者は、このトークンを知らない限り、正しいリクエストを送信することができません。
  2. SameSite属性の設定
     SameSite属性は、Cookieを送信する場合に使用される属性であり、SameSite属性を指定することで、Cookieを同一オリジンからのリクエストにのみ送信するように設定することができます。SameSite属性をStrictに設定すると、Cookieは同一オリジンからのリクエストのみに送信されます。SameSite属性をLaxに設定すると、外部ドメインからのGETリクエストについてはCookieが送信されませんが、POSTリクエストについては送信されるため、一定程度の保護が期待できます。
  3. Refererチェックの実装
     Refererチェックは、リクエストがどのWebページから送信されたものかをチェックすることで、CSRF攻撃を防ぐことができます。しかし、RefererチェックはHTTPリクエストのヘッダーに含まれる値であり、偽装することができるため、100%安全というわけではありません。
  4. ログアウト機能の実装
     ログアウト機能を実装することで、被害者がWebアプリケーションからログアウトした状態であれば、CSRF攻撃を受けることはありません。
  5. HTTPSの使用
     HTTPSを使用することで、通信内容を暗号化することができます。攻撃者は、通信内容を傍受して不正なリクエストを送信することができるため、HTTPSを使用することで、CSRF攻撃を防ぐことができます。
  6. 二要素認証の導入
     二要素認証を導入することで、攻撃者がパスワードを知っていたとしても、二要素認証によって認証を回避することができません。二要素認証の方法としては、SMS認証やアプリを使用したTOTP認証などがあります。
  7. CSRFトークンの実装
     CSRFトークンは、Webアプリケーションで重要な操作を行う場合に、ランダムな値を付与してフォームに含めることで、CSRF攻撃を防ぐための一般的な方法です。CSRFトークンは、攻撃者が不正なリクエストを送信する場合にも、正しいトークンを含めることができないため、攻撃を防ぐことができます。

 以上のように、CSRF攻撃に対する対策は多岐にわたります。Webアプリケーションを設計する際には、これらの対策を組み合わせることで、より高いセキュリティを実現することができます。

 CSRF攻撃は、Webアプリケーションにとって深刻な脅威の一つです。攻撃者が被害者を騙して不正なリクエストを送信することで、被害者のアカウントを不正に操作することができます。Webアプリケーションを設計する際には、CSRF攻撃に対する対策を十分に考慮する必要があります。