WPAのセキュリティ
WPAのセキュリティ
WPA(Wi-Fi Protected Access)は、無線LANのセキュリティプロトコルの1つで、WEPの脆弱性を補うために開発されました。WPAは、データの暗号化に加え、認証や鍵の管理にも改良が加えられています。以下にWPAのセキュリティについて詳しく説明します。
- 鍵の自動生成
WPAでは、事前共有鍵(Pre-Shared Key, PSK)と呼ばれる鍵を使用します。これは、無線LANのアクセスポイントとクライアント端末が共有する鍵で、暗号化に使用されます。WPAでは、このPSKを自動生成する機能が導入され、セキュリティを高めることができます。 - TKIP暗号化
WPAでは、WEPで使用されていたRC4アルゴリズムに代わり、TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)という暗号化方式を採用しています。TKIPは、WEPと同じ鍵長(128ビット)を使用しながら、鍵の管理方法を改良することで、より強固な暗号化を実現しています。 - MIC検査
WPAでは、Integrity Check Value (ICV) に代わり、Message Integrity Check (MIC) という技術を導入しています。MICは、データの送信元と送信先が正当であることを検査するために使用されます。MICは、鍵管理と一緒に使用することで、WEPの欠陥を修正するのに役立ちます。 - EAP認証
WPAでは、WEPのような静的な鍵管理に代わり、EAP(Extensible Authentication Protocol)という認証方式を採用しています。EAPを使用することで、さまざまな認証方式をサポートすることができます。例えば、ユーザー名とパスワード、証明書、スマートカード、バイオメトリック認証などが挙げられます。 - WPA2
WPA2は、WPAの改良版で、AES(Advanced Encryption Standard)を使用して暗号化を行うため、より強力なセキュリティを提供します。WPA2は、WPAと同様に、EAP認証や鍵の自動生成などの機能を備えています。WPA2は現在、最も一般的に使用されている無線LANのセキュリティプロトコルの1つです。 - PSKの長さ
WPA2では、PSKの長さを最大63文字に制限しています。これは、セキュリティを強化するために導入された制限です。WPA2では、PSKを暗号化キーに変換するためにPBKDF2(Password-Based Key Derivation Function 2)を使用しています。 - CCMP暗号化
WPA2では、WPAで使用されたTKIPに代わり、CCMP(Counter Mode with Cipher Block Chaining Message Authentication Code Protocol)という暗号化方式を採用しています。CCMPはAESを使用して暗号化を行うため、WPAよりもより強固なセキュリティを提供します。 - IEEE 802.11i
WPA2は、IEEE 802.11i規格に基づいて設計されています。この規格は、無線LANのセキュリティに関する技術的な詳細を定義しています。WPA2は、この規格に準拠して設計されているため、より高度なセキュリティを提供することができます。 - 互換性
WPA2は、WPAよりも新しいセキュリティプロトコルですが、WPA2はWPAとの互換性があります。したがって、WPA2対応のアクセスポイントは、WPA対応のクライアント端末と通信することができます。ただし、WPA2でのセキュリティレベルを維持するために、WPAとの同時使用は推奨されていません。
以上が、WPAのセキュリティについての詳細です。WPA2は、より高度なセキュリティを提供するために開発された改良版であり、現在は最も一般的に使用されている無線LANのセキュリティプロトコルです。