SHA-3

SHA-3

 SHA-3は、SHA-2と同じくNIST(National Institute of Standards and Technology)によって標準化されたハッシュ関数です。SHA-3は、元々はKeccakと呼ばれるアルゴリズムであったものを、競争的なプロセスによって選定されたもので、2015年にNISTによって標準化されました。

 SHA-3は、SHA-2と同じく、暗号化ではなくハッシュ関数として設計されています。つまり、SHA-3を使用してデータをハッシュ化することで、元のデータを特定することはできません。SHA-3は、SHA-2よりも高速な処理速度とより安全なハッシュ値の生成が可能であることが特徴です。

 SHA-3は、さまざまなアプリケーションで使用されています。例えば、SHA-3は、SSL/TLSプロトコルの一部として、Webサイトのセキュリティを確保するために使用されます。また、SHA-3は、デジタル署名やメッセージ認証コード(MAC)の生成にも使用されます。

 SHA-3は、競争的なプロセスを経て選定されたハッシュ関数であるため、SHA-2と同様に、SHA-3に対する攻撃手法が発見される可能性があります。そのため、SHA-3も常に改良が続けられており、新しいバージョンのSHA-3や、SHA-3を改良したSHA-3互換アルゴリズムが研究されています。

 SHA-3は、Keccakアルゴリズムに基づいて設計されています。Keccakは、スパンノットツリー(Sponge)構造を使用したハッシュ関数であり、ビット幅と出力長が自由に設定可能です。この構造は、データをスポンジのように吸収し、出力を絞り出すように処理することで、ハッシュ値を生成します。

 SHA-3の最も一般的なバージョンは、ビット幅が1600ビット、出力長が224ビット、256ビット、384ビット、または512ビットであるSHA3-224、SHA3-256、SHA3-384、SHA3-512です。

 SHA-3は、ハッシュ関数の安全性を保証するためのいくつかのセキュリティ要件を満たしています。その一例として、”preimage resistance”、”second preimage resistance”、”collision resistance”があります。”preimage resistance”とは、ハッシュ関数の出力値から元のデータを逆算することが困難であることを示します。”second preimage resistance”とは、与えられたハッシュ値と一致する元のデータを見つけることが困難であることを示します。”collision resistance”とは、異なる入力値に対して同じハッシュ値が生成されることが困難であることを示します。

 しかし、SHA-3も攻撃手法が進化することを考慮し、新しい脆弱性が発見されることもあります。そのため、常に最新のセキュリティ技術にアップデートすることが必要です。