ラベル

ラベル


 MPLS(Multi-Protocol Label Switching)は、パケット交換ネットワークにおいて高速かつ効率的なデータ転送を実現するための技術であり、ネットワーク層においてパケットにラベルを付与し、ラベルに基づいて転送を行います。

 MPLSでは、パケットに付与されるラベルは、送信元ルーターから宛先ルーターまでのパスにおいて一意になるように割り当てられます。ラベルは、IPアドレスなどのパケットのヘッダ情報とは別に、MPLSヘッダとしてパケットの先頭に挿入されます。

 MPLSを利用することで、パケットの転送において、従来のルーティングに比べて高速かつ効率的な転送が可能になります。これは、パケットの転送経路において、ラベルを利用して直接転送することができるためです。具体的には、パケットを転送する際に、ラベルによってパケットの宛先ルーターまでのパスを決定し、そのパス上のルーターでの転送処理を最小限に抑えることができます。

 また、MPLSでは、QoS(Quality of Service)機能を利用して、パケットに優先度を設定することができます。これにより、重要なアプリケーションや通信に対して、帯域幅や転送時間の保証を行うことができます。

 MPLSにおけるラベルは、ルーターによって自動的に割り当てられます。また、MPLSラベルは、32ビットの数値で表されます。そのうち、20ビットがラベル番号、3ビットがEXP(Experimental)フィールド、1ビットがS(Stack)フラグ、8ビットがTTL(Time to Live)フィールドとなっています。

 MPLSは、ISP(Internet Service Provider)などのネットワーク事業者によって広く利用されており、VPN(Virtual Private Network)やトラフィックエンジニアリングなどにおいて、高速で信頼性の高い通信を実現するために重要な技術となっています。

MPLSの利点として、以下のようなものがあります。

  1. 高速なパケット転送

 MPLSは、パケットの転送経路において、ラベルを利用して直接転送することができるため、従来のルーティングに比べて高速かつ効率的な転送が可能になります。

  1. 拡張性が高い

 MPLSは、さまざまなネットワークプロトコルに対応しているため、既存のネットワーク環境に容易に統合できるという利点があります。

  1. QoS(Quality of Service)機能の提供

 MPLSは、QoS機能を利用して、パケットに優先度を設定することができます。これにより、重要なアプリケーションや通信に対して、帯域幅や転送時間の保証を行うことができます。

  1. VPNの実現

 MPLSを利用することで、仮想的なプライベートネットワークを構築することができます。これにより、安全で高速なリモートアクセスや通信を実現することができます。

 MPLSのラベルは、フレームリレーのDLCI(Data Link Connection Identifier)やATMのVPI(Virtual Path Identifier)・VCI(Virtual Channel Identifier)といった識別子と似た役割を持っていますが、MPLSは、IPネットワークにおけるラベル交換技術として一般的に使用されています。


 MPLSのラベルは、送信元ルーターから宛先ルーターまでのパス上のすべてのルーターで付与・削除されるため、複数のルーターを経由して通信する場合でも、パケットのヘッダー情報を変更せずに、高速かつ確実な転送が可能になります。

MPLSのラベルは、20ビットから32ビットまでのサイズで定義されます。ラベルのビット構成は、以下のようになっています。

  • ラベル値(Label Value)
    20ビットまたは32ビット。パケットを識別するための数値であり、ルーター間でラベル交換を行う際に使用されます。
  • EXPビット(Experimental Bit)
    3ビット。QoS機能において、パケットの優先度を設定するために使用されます。
  • Sビット(Bottom of Stack Bit)
    1ビット。複数のラベルがスタックされた場合に、最下位のラベルを示すために使用されます。
  • TTL(Time to Live)
    8ビット。パケットが転送されるごとに減少し、0になるとパケットが破棄される。

 MPLSは、企業のネットワーク、ISPのネットワーク、キャリアネットワークなど、さまざまな規模のネットワークにおいて広く利用されています。