待ち時間

待ち時間

 待ち行列における待ち時間とは、顧客が待ち行列に入ってからサービスを受けるまでの時間を指します。これは、顧客の到着間隔、サービス時間、待ち行列の長さ、そして待ち行列の形態(一般的には先入先出または優先順位)によって決まります。

 顧客が到着したときに、既にサービスを受けている顧客がいない場合、待ち時間はゼロになります。しかし、待ち行列に既に顧客がいる場合、新しい顧客は列に並び、順番が回ってくるまで待つ必要があります。この場合、待ち時間は、その時点で待ち行列の最後尾にいる顧客がサービスを受けるまでにかかる時間です。

 待ち時間は、サービス時間と到着率が等しい場合、待ち行列が安定状態にある場合、平均的に最も長い待ち時間が発生する場合、などの状況で異なる結果が得られます。待ち行列理論は、このような状況で待ち時間を正確に予測するための数学的な手法を提供します。

 待ち行列理論には、多くの種類のモデルがあります。最も基本的なモデルは、単一のサーバーがある場合の「M/M/1」モデルで、顧客がポアソン分布に従って到着し、サービス時間も指数分布に従うと仮定されます。また、待ち行列の長さが無限にならないように、顧客は列に入れられた後にサービスを受けられる場合と、列に入れられた後にすぐにサービスを受ける場合の2つに分類されます。

 他にも、複数のサーバーや、優先度の高い顧客がいる場合など、より複雑な待ち行列モデルもあります。待ち行列理論は、これらのモデルを使用して、待ち時間や待ち行列の長さ、システムのスループットや効率性を計算することができます。これにより、システムの改善点や、必要なリソースの量、サービスレベルアグリーメント(SLA)の達成可能性など、さまざまなアプリケーションにおいて効果的な意思決定を行うことができます。