ブロードキャストストーム

ブロードキャストストーム

 ネットワークにおいて、ブロードキャストストームとは、ネットワーク内で大量のブロードキャストパケットが送信され、ネットワークのパフォーマンスが著しく低下する状況を指します。通常、ブロードキャストは限られた範囲内で利用されるため、不適切なネットワーク構成や攻撃などにより、ブロードキャストパケットが大量に生成され、ネットワークを混乱させることがあります。

 ブロードキャストストームが発生すると、ネットワークトラフィックが急増し、帯域幅が大幅に制限されるため、ネットワークのパフォーマンスが著しく低下します。さらに、ネットワーク内のすべてのデバイスがブロードキャストパケットを処理する必要があり、CPUリソースやメモリリソースが消費され、システムの安定性が脅かされることがあります。その結果、ネットワークの障害や故障が発生することがあります。

ブロードキャストストームが発生する原因には、以下のようなものがあります。

  • ブロードキャストフレームが無制限に転送されるハブの使用
  • ループしたパスが存在するスイッチやルーターのネットワーク設定
  • ネットワーク内に不適切なDHCPサーバーが存在する場合、クライアントがDHCPパケットを要求し続ける
  • 悪意のある攻撃者が、ネットワーク内のすべてのデバイスに対して偽のブロードキャストパケットを送信することで、ブロードキャストストームを発生させる

ブロードキャストストームを防止するためには、以下のような対策があります。

  • スイッチやルーターでブロードキャストフィルタリングを実施する
  • スイッチでSTP(Spanning Tree Protocol)を有効にする
  • ネットワーク内のDHCPサーバーの設定を適切に管理する
  • セキュリティ対策を実施し、攻撃者からの偽のブロードキャストパケットをブロックする

 これらの対策により、ブロードキャストストームが発生するリスクを軽減し、ネットワークのパフォーマンスと安定性を維持することができます。また、ネットワークの設計や構成にも注意する必要があります。例えば、ハブを使用する代わりに、スイッチを使用することが推奨されます。スイッチはポートごとに通信を分離することができるため、ブロードキャストトラフィックを適切に制御することができます。

 ブロードキャストストームが発生した場合には、ネットワークトラフィックの解析ツールを使用して、問題の発生源を特定することが重要です。また、ネットワークの障害対応チームが迅速に対応することで、ネットワークの復旧を早めることができます。

 最近では、ブロードキャストトラフィックの代替技術として、マルチキャストやアンソリシテッドリクエストを使用することが推奨されます。これらの技術は、ネットワークトラフィックを適切に制御することができ、ブロードキャストストームを発生させるリスクを軽減することができます。