半二重通信

半二重通信

 半二重通信は、通信の送受信に同じ伝送路を使用する通信方式です。つまり、一方がデータを送信している時には、もう一方は待機する必要があります。この方式は、1つの伝送路を共有して通信を行う共有媒体型ネットワークにおいて、広く使用されています。

 半二重通信の代表的な例として、データを送信する前に「トークン」と呼ばれる特別なデータを受信する必要があるトークンリング方式があります。トークンリング方式では、ネットワーク上を回るトークンによって、通信権が各端末に移動していきます。つまり、トークンを持っている端末がデータを送信することができるため、送信権を持つ端末だけがデータを送信できるという制御が可能になります。

 また、半二重通信では、一方がデータを送信している時には、同時にもう一方がデータを送信することができないため、衝突が起こることがありません。そのため、衝突検知が必要なCSMA/CD方式と比較して、半二重通信は簡単で信頼性が高いという利点があります。

 しかし、半二重通信は、一方がデータを送信している場合、他方は待機する必要があるため、通信速度が低下することがあります。また、複数の端末が同時にデータを送信しようとした場合には、競合が起こるため、ネットワークの性能が低下することがあります。そのため、現在では、半二重通信よりもフルデュプレックス通信が広く使われるようになっています。

 フルデュプレックス通信は、送信と受信を同時に行うことができるため、半二重通信に比べて高速であり、効率的に通信を行うことができます。フルデュプレックス通信を実現するためには、複数の伝送路が必要であり、それぞれを独立して使用する必要があります。

 例えば、イーサネットでは、半二重通信を使用していた時代から、フルデュプレックス通信が使用されるようになりました。フルデュプレックス通信を行うためには、イーサネットスイッチなどの機器を介して、それぞれの端末が独立した伝送路を持つようになります。そのため、複数の端末が同時に通信しても競合することがなく、高速かつ安定した通信を行うことができます。

 一方、半二重通信は、一つの伝送路を共有する方式であるため、通信速度が低下したり、競合が起こったりすることがありますが、安価で実装しやすいという利点があります。そのため、小規模なネットワークなどでは、半二重通信が使用されることもあります。