搬送波感知

搬送波感知

 搬送波感知(Carrier Sense)とは、ネットワーク通信において、自分が送信している信号が他の端末の通信と干渉しないようにするための技術です。搬送波感知は、共有媒体型ネットワークにおいて重要な技術であり、イーサネットやWi-Fiなどの通信プロトコルで広く使われています。

搬送波感知には、2つの方式があります。

  1. 1-persistent CSMA方式
     送信希望端末は、チャネルが空いているかを検知するために、一定時間(DIFS: Distributed Inter Frame Space)待機します。この時間内にチャネルが空いていれば、すぐに送信を開始します。しかし、チャネルがすでに他の端末によって使用中の場合、ランダムな時間(バックオフ時間)待機してから再度チャネルを検知し、空いている場合に送信を試みます。
  2. 非持続型CSMA方式
     1-persistent CSMA方式と同様に、チャネルが空いているかを検知するために、一定時間(DIFS)待機します。しかし、チャネルが他の端末によって使用中の場合に、ランダムな時間(バックオフ時間)待機することなく、直ちに再度チャネルを検知し、空いている場合に送信を試みます。この場合、干渉が発生する可能性がありますが、重複送信を抑制することができます。

 このように、搬送波感知によって、複数の端末が共有するチャネルにおいて、信号の干渉を最小限に抑え、スムーズな通信を実現することができます。ただし、搬送波感知だけでは、競合回避による遅延が発生するため、高速な通信には向いていません。そのため、高速通信には、帯域幅を効率的に利用するためのフレームスキップ方式や、チャネルアクセス制御のためのキャリアセンス多重アクセス(CSMA/CD)などが利用されます。

 フレームスキップ方式は、一定の期間ごとにデータを送信するのではなく、一定期間に何回送信できるかを決め、その回数だけデータを送信する方式です。この方式は、通信速度が遅く、遅延が発生しやすい共有媒体型ネットワークに適しています。

 CSMA/CDは、搬送波感知に加えて、衝突検知(Collision Detection)を行うことで、通信の競合回避と高速通信を実現する技術です。CSMA/CD方式では、データの送信中に他の端末からデータが送信され、衝突が発生した場合、データの再送信を試みます。この再送信はランダムな遅延を入れて行われるため、競合回避ができ、高速通信が実現できます。

 搬送波感知やCSMA/CDは、共有媒体型ネットワークにおける競合回避技術として、重要な役割を果たしています。しかし、これらの方式は、複数の端末が同時にデータを送信しようとした場合に、競合が起こるため、ネットワークの性能が低下することがあります。このような問題を解決するために、スイッチングネットワークやルーティングネットワークが開発され、現在では、より高速で信頼性の高い通信を実現することができるようになっています。