バックオフ制御時間

バックオフ制御時間

 CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)は、無線LANなどのワイヤレス通信において、複数のデバイスが同じチャネルを共有する際に衝突を避けるためのアルゴリズムです。

 CSMA/CAでは、デバイスが送信前にチャネルを検出して、他のデバイスがデータを送信していないことを確認します。その後、デバイスはランダムな時間を待ってから送信を開始します。これにより、複数のデバイスが同時に送信を開始することを避け、衝突を回避することができます。

 しかし、デバイスがランダムな時間を待つことで、通信の効率が低下する可能性があります。そのため、CSMA/CAでは、バックオフ制御時間を設定することができます。

 バックオフ制御時間とは、ランダムな時間を待つ時間のことです。デバイスがチャネルを検出してから送信を開始するまでの間に、ランダムな時間を待つことで、他のデバイスが送信を開始するのを避けることができます。バックオフ制御時間は、デバイスごとに異なる時間が設定されます。

 また、バックオフ制御時間は、通信の混雑度に応じて調整されます。通信の混雑度が高い場合は、バックオフ制御時間が長くなります。このようにして、通信の効率を維持しながら、衝突を回避することができます。

 なお、CSMA/CAでは、衝突を完全に回避することはできません。衝突が発生した場合は、再送信を行うことで、通信の完了を試みます。

CSMA/CAのバックオフ制御時間は、以下のように計算されます。

 まず、デバイスがチャネルを検出した時点で、ランダムなバックオフ時間を生成します。ランダムなバックオフ時間は、0から、2^n – 1の範囲内の値で生成されます。ここで、nは、再送信回数に応じて変化します。初めて送信する場合は、n=0とします。

 ランダムなバックオフ時間が生成されたら、実際のバックオフ時間を計算します。実際のバックオフ時間は、ランダムなバックオフ時間に、スロット時間という定数を掛けた値になります。スロット時間は、データの送信に必要な最小の時間単位で、通常は9マイクロ秒程度です。

 最後に、実際のバックオフ時間の間に、他のデバイスが送信を開始しないことを確認した後、デバイスは送信を開始します。もし、他のデバイスが送信を開始した場合は、再度バックオフ時間を計算し直して、ランダムな時間を待つことになります。

 このように、CSMA/CAでは、デバイスが送信前にランダムな時間を待つことで、他のデバイスとの衝突を回避します。しかし、通信の効率が低下する可能性があるため、適切なバックオフ制御時間の設定が重要です。