バーチャルサーキット

バーチャルサーキット

 バーチャルサーキット(Virtual Circuit)は、通信回線の確立において用いられる通信方式の一つで、データ転送前に確立された論理的な通信路を利用して、通信を行う方式です。

 バーチャルサーキットは、データを転送する前に、通信回線を確立する必要があります。この確立手順では、通信のためのリソース(伝送路、バッファ、帯域幅、遅延時間など)を予約することで、通信回線の使用を予約します。通信回線が確立された後は、データは確立された通信回線を経由して転送されます。

 バーチャルサーキットは、パケット交換方式と比較して、データ転送の信頼性が高く、伝送遅延が少ないことが特徴です。また、通信路の利用率が高くなるため、通信効率も高くなります。ただし、通信回線の確立手順に時間がかかるため、短い通信を行う場合には、効率が悪いという問題があります。

 バーチャルサーキットは、主にATM(Asynchronous Transfer Mode)や、古いネットワークプロトコルであるX.25などの通信方式で用いられました。最近では、インターネットなどのパケット交換方式が主流となっていますが、一部の業務用回線などで用いられる場合があります。

バーチャルサーキットの利点としては、データ転送の信頼性が高いことが挙げられます。通信路を確立する前に、予め通信のためのリソースを確保しておくため、通信中にパケットの喪失や破損が発生することが少なくなります。また、バーチャルサーキットは、通信回線を確立する手順によって、データの転送順序が保証されるため、データが正確な順序で転送されます。

 一方、バーチャルサーキットにはいくつかの課題があります。まず、通信回線の確立手順に時間がかかるため、短い通信を行う場合には、効率が悪くなることがあります。また、通信回線の確立手順には、多くの制御メッセージが必要となり、通信量が増えることがあります。さらに、通信回線の予約が失敗すると、通信が行えなくなるため、通信の可用性が低下する可能性があります。

 バーチャルサーキットは、現在では、主にATMや、レガシープロトコルであるX.25などの通信方式で用いられることが多くなっています。一方、インターネットなどのパケット交換方式は、通信回線を確立する手順を省略することで、より高速な通信が可能となっています。しかし、バーチャルサーキットの利点を生かしたネットワークアーキテクチャも存在し、例えば、MPLS(Multiprotocol Label Switching)などがあります。