トークンリング

トークンリング

 トークンリング(Token Ring)は、ネットワークトポロジーの一種で、コンピュータネットワークにおいてデータを伝送するための方式の一つです。

 トークンリングでは、コンピュータが一列に繋がったリング状のネットワークを構成します。データを送信するためには、特別なトークンと呼ばれる制御フレームがリング上を回っている必要があります。トークンは、データを送信する権限を持っているコンピュータが使用できるようになっており、このトークンを取得したコンピュータは、データを送信することができます。送信が完了すると、トークンは次のコンピュータに移動し、データが送信されるまで繰り返されます。

 トークンリングは、ネットワークの信頼性を高めるために、冗長性のあるリングを構成することができます。また、トークンリングは、コンピュータがデータを送信する権限を持っている限り、高い優先度を持っているため、リング内のデータ送信に遅延が生じることがなく、高速かつ正確な通信が可能となります。

 しかし、トークンリングにはいくつかの欠点があります。例えば、トークンリングに参加するコンピュータ数が増えると、トークンが回る時間が長くなり、ネットワークの性能が低下する可能性があります。また、故障したコンピュータがトークンを取得し続けると、トークンリング全体がダウンすることがあります。

 現在、トークンリングは、Ethernetなどの他のネットワークトポロジーに取って代わられており、あまり一般的ではありません。

 トークンリングは、IBMによって開発され、1980年代に広く採用されました。初期のトークンリングの実装では、特別なトークンリングアダプタが必要でした。トークンリングアダプタは、リング上を回るトークンを監視し、データを送信するための権限を取得するために、ネットワーク上の他のコンピュータと通信する必要がありました。

 1990年代には、トークンリングの実装が大幅に改善され、新しいトークンリングアダプタでは、トークンが回るのを待つ必要がなくなりました。トークンが利用可能になったときにトークンリングアダプタがデータを送信できるようになりました。

トークンリングは、今日ではあまり使用されていませんが、一部のレガシーシステムでは、まだトークンリングが使用されています。また、トークンリングの概念は、フェイルオーバーと呼ばれる異なるネットワークトポロジーの実装にも役立っています。フェイルオーバーでは、ネットワークの故障に備えて、別のルートが用意されます。トークンリングの概念を応用したフェイルオーバーでは、リング内のコンピュータの代替ルートが用意され、ネットワークの可用性が維持されます。