データリンク

データリンク

 データリンク層は、物理層で転送されたビットストリームをフレームに分割し、フレームに誤り制御機能を加えて、上位層に提供する役割を持ちます。以下に、代表的なデータリンク技術や規格について説明します。

  1. Ethernet: Ethernetは、ローカルエリアネットワーク(LAN)で広く利用されるデータリンク技術で、IEEE 802.3規格に基づいています。Ethernetでは、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式を採用しており、複数のノードが同時に送信を試みた場合には衝突が起こり、再送が必要になります。また、Ethernetでは、フレームの先頭にプリアンブルとSFD(Start Frame Delimiter)を付加し、フレームの先頭と末尾にはフレームチェックシーケンス(FCS)を付加することで誤り検出を行います。
  2. Wi-Fi: Wi-Fiは、無線LANで広く利用されるデータリンク技術で、IEEE 802.11規格に基づいています。Wi-Fiでは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式を採用しており、衝突回避のためにRTS(Request To Send)/CTS(Clear To Send)フレームを使用します。また、Wi-Fiでは、フレームの先頭にフレームコントロールやアドレスなどのヘッダ情報、末尾にFCSを付加して誤り検出を行います。
  3. HDLC: HDLC(High-level Data Link Control)は、シンクロナスシリアル通信で広く利用されるデータリンクプロトコルで、ISO 3309規格に基づいています。HDLCでは、フレームの先頭にフラグ(01111110)を付加し、フレーム内のエスケープシーケンス(01111101)を使用してフラグと同じビット列をエスケープすることで、フレームの区切りを明確にします。また、HDLCでは、チェックサムを使用して誤り検出を行います。
  4. PPP: PPP(Point-to-Point Protocol)は、シリアル通信で広く利用されるプロトコルで、RFC 1661に規定されています。PPPでは、フレームの先頭にフラグ(01111110)を付加し、フレーム内のエスケープシーケンス(11100011)を使用してフラグと同じビット列をエスケープすることで、フレームの区切りを明確にします。また、PPPでは、CRC(Cyclic Redundancy Check)を使用して誤り検出を行います。
  5. ATM: ATM(Asynchronous Transfer Mode)は、広域通信網などで利用されるデータリンク技術で、ITU-T勧告に基づいています。ATMでは、フレームの長さが固定されており、53バイトのペイロードに5バイトのヘッダが付加された48バイトのセル単位で通信を行います。ATMでは、CRCを使用して誤り検出を行います。
  6. Frame Relay: Frame Relayは、広域通信網で利用されるデータリンク技術で、ITU-T勧告に基づいています。Frame Relayでは、フレームの長さが可変で、ヘッダの長さも可変です。Frame Relayでは、CRCを使用して誤り検出を行います。
  7. SONET/SDH: SONET(Synchronous Optical NETwork)/SDH(Synchronous Digital Hierarchy)は、光ファイバ通信網で利用されるデータリンク技術で、ANSIやITU-T勧告に基づいています。SONET/SDHでは、フレームの長さが固定されており、複数のチャネルをマルチプレクスすることができます。SONET/SDHでは、CRCやBIP(Bit Interleaved Parity)を使用して誤り検出を行います。
  8. Wi-Fi: Wi-Fiは、無線LANで利用されるデータリンク技術で、IEEE 802.11規格に基づいています。Wi-Fiでは、フレームの長さが可変で、ヘッダの長さも可変です。Wi-Fiでは、CRCを使用して誤り検出を行います。
  9. Bluetooth: Bluetoothは、近距離無線通信で利用されるデータリンク技術で、IEEE 802.15.1規格に基づいています。Bluetoothでは、フレームの長さが可変で、ヘッダの長さも可変です。Bluetoothでは、CRCを使用して誤り検出を行います。
  10. ZigBee: ZigBeeは、IoT(Internet of Things)やセンサネットワークで利用されるデータリンク技術で、IEEE 802.15.4規格に基づいています。ZigBeeでは、フレームの長さが可変で、ヘッダの長さも可変です。ZigBeeでは、CRCを使用して誤り検出を行います。
  11. NFC: NFC(Near Field Communication)は、非接触型の短距離通信技術で、ISO/IEC 18092規格に基づいています。NFCは、スマートフォンやICカードなどによって利用され、主に電子決済やスマートフォンとのデータ通信などに利用されます。

 以上が、主な無線データリンク技術や規格の概要です。これらの技術は、ネットワークの拡張性や柔軟性を高めるために重要な役割を果たしています。また、最近のトレンドとして、有線と無線を組み合わせたハイブリッドなネットワークが注目されています。