ゾーン転送

ゾーン転送

 ゾーン転送 (Zone Transfer) とは、DNS (Domain Name System) サーバーの機能の一つで、ある DNS サーバーから別の DNS サーバーに対して、ある特定のドメイン名に関する情報を要求して取得することを指します。

 DNS サーバーは、ドメイン名と IP アドレスの対応付けを行うことで、インターネット上の情報の正確な配信を行うために重要な役割を果たしています。しかし、DNS サーバーは、そのドメイン名に関する情報を公開するために、他の DNS サーバーに対して情報を提供することもできます。このとき、ゾーン転送が行われます。

 ゾーン転送は、セキュリティ上の問題があります。例えば、ある DNS サーバーに攻撃を仕掛けてその情報を取得することで、そのドメイン名に関する情報をすべて把握することができます。そのため、DNS サーバーによっては、ゾーン転送を制限することで、不正アクセスや情報漏洩のリスクを低減することがあります。

 一般的に、ゾーン転送は、特定の DNS サーバーからの要求に対して、制限された範囲の情報のみを提供するように設定されています。また、セキュリティの向上のために、DNS サーバーは、ゾーン転送を許可する IP アドレスやホスト名を制限することができます。さらに、DNSSEC (DNS Security Extensions) などの技術的な対策を講じることで、ゾーン転送によるセキュリティ上のリスクを低減することができます。

 ゾーン転送を制限するための一つの方法として、BIND (Berkeley Internet Name Domain) サーバーには、以下のような設定があります。

・allow-transfer:許可するゾーン転送を指定する。 ・also-notify:変更があった場合に通知するサーバーを指定する。

allow-transferは、ゾーン転送を許可する IP アドレスを指定するための設定です。通常、自分自身とスレーブサーバーの IP アドレスを指定します。また、セキュリティ上の理由から、特定の IP アドレスからのゾーン転送を許可することができます。

 also-notifyは、変更があった場合に通知するサーバーを指定するための設定です。変更があった場合、マスターサーバーはスレーブサーバーに通知することができます。これにより、スレーブサーバーはマスターサーバーからゾーン情報を取得する前に、自分自身のキャッシュをクリアすることができます。

 しかし、これらの設定が不適切に行われている場合、悪意のある攻撃者によるゾーン転送によって、DNS サーバーが攻撃を受ける可能性があります。そのため、正しい設定と運用が求められます。