セキュリティターゲット

セキュリティターゲット

 セキュリティターゲットとは、情報システムにおける安全性の要求事項を定義した文書のことを指します。情報システムにおいて、安全性を確保するためには、適切なセキュリティ対策が必要ですが、それらの対策を実施する前に、どのような安全性の要求があるかを明確に定義する必要があります。このような要求事項を記述した文書が、セキュリティターゲットです。

 セキュリティターゲットは、情報システムの安全性の要求事項を詳細に定義し、開発者や設計者、評価者、およびその他の関連するステークホルダーに対して、安全性に関する基準や評価方法を提供します。セキュリティターゲットには、次のような情報が含まれます。

  • セキュリティポリシー
  • システムの脅威モデル
  • セキュリティ要件
  • セキュリティ機能
  • システムアーキテクチャ
  • セキュリティ制御措置
  • セキュリティテスト方法
  • セキュリティ評価方法

 セキュリティターゲットは、ISO/IEC 15408やCommon Criteriaといった標準的な評価フレームワークにおいても重要な役割を果たします。これらのフレームワークでは、セキュリティターゲットを作成し、セキュリティ評価の対象となるシステムの安全性の要求を明確化することが求められます。

 情報システムの安全性を確保するためには、適切なセキュリティターゲットを策定し、それに基づいてセキュリティ対策を実施することが必要です。セキュリティターゲットは、システムの開発、運用、および維持において、安全性を確保するための基盤となります。

 また、セキュリティターゲットは、情報システムにおけるセキュリティの評価や改善にも役立ちます。セキュリティターゲットが定義されている場合、システムのセキュリティ対策が適切に実施されているかどうかを評価することができます。また、セキュリティターゲットが存在しない場合、システムの安全性についての要求事項が不明瞭となり、セキュリティ対策の不備や漏れが生じる可能性があります。

 さらに、セキュリティターゲットは、セキュリティ対策の実施において、プロジェクトチームや関連するステークホルダーの間で共通の理解を形成することも重要です。セキュリティターゲットが存在することで、プロジェクトチームや関連するステークホルダーは、システムの安全性に関する共通の目標や方向性を持つことができます。

 以上のように、セキュリティターゲットは、情報システムの安全性を確保するために必要不可欠な文書のひとつです。セキュリティターゲットを策定することで、システムの安全性の要求事項を明確化し、セキュリティ対策の実施や評価、改善に役立ちます。