気付アドレス

気付アドレス

 モバイルIP (Mobile IP) は、モバイルデバイスが異なるネットワークに移動しても、そのデバイスに割り当てられたIPアドレスを維持するためのプロトコルです。モバイルIPにより、モバイルデバイスが移動する際にネットワークの切り替えやIPアドレスの再割り当てが必要なくなり、スムーズな通信が可能になります。

 モバイルIPでは、モバイルデバイスに割り当てられたIPアドレスを “ホームアドレス” と呼びます。モバイルデバイスが異なるネットワークに接続すると、そのデバイスは “フォーリン・エージェント” と呼ばれる中継サーバーに接続します。フォーリン・エージェントは、モバイルデバイスに新しいIPアドレスを割り当て、そのデバイスが移動しても通信を維持できるようにします。フォーリン・エージェントは、通信相手である “ホーム・エージェント” と通信し、データパケットを転送することができます。

 気付アドレス (Care-of Address) は、モバイルIPにおいて、モバイルデバイスがフォーリン・エージェントに接続されたときに割り当てられるIPアドレスのことを指します。気付アドレスは、モバイルデバイスが接続されているネットワークに応じて動的に割り当てられます。気付アドレスは、通信相手にモバイルデバイスの新しいIPアドレスを通知するために使用されます。

 具体的には、通信相手がモバイルデバイスに通信しようとすると、通信相手はホーム・エージェントに問い合わせ、モバイルデバイスの現在の気付アドレスを取得します。ホーム・エージェントは、気付アドレスを通信相手に返し、通信相手はその気付アドレスを使用してモバイルデバイスにデータを送信します。フォーリン・エージェントは、モバイルデバイスから受信したデータを気付アドレスに転送し、通信相手に返します。

 モバイルIPには、複数のバージョンがあり、現在広く使用されているのは、Mobile IPv4 (RFC 5944) および Mobile IPv6 (RFC 6275) です。Mobile IPv4 は IPv4 ネットワーク上で動作し、Mobile IPv6 は IPv6 ネットワーク上で動作します。Mobile IPv6 では、気付アドレスとして “ホームネットワーク・プレフィックス” を使用することができます。これにより、気付アドレスの割り当てがより簡単になり、通信の遅延が少なくなります。

 モバイルIPは、モバイルデバイスが異なるネットワークに移動する際に、透過的な通信を提供することができます。しかし、モバイルIPはモバイルデバイスが移動するたびにフォーリン・エージェントに接続するため、通信の遅延が生じることがあります。また、モバイルIPはセキュリティ上の問題を引き起こすことがあり、セキュリティ対策が必要とされます。