VRRP
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VRRP（Virtual Router Redundancy Protocol）は、複数のルーターを仮想的にひとつのルーターとして扱い、冗長化を実現するためのプロトコルです。VRRPを使用することで、冗長化されたルーターが故障した場合でも、他のルーターが自動的に代替となり、ネットワークの可用性を維持することができます。
VRRPでは、複数のルーターが同じIPアドレスを共有することができます。この共有IPアドレスは、仮想IPアドレスと呼ばれます。VRRPドメインと呼ばれる複数のルーターで構成されるグループ内では、同じ仮想IPアドレスが割り当てられます。これにより、ネットワーク上のホストは、常に同じIPアドレスを使用して、ルーターに接続することができます。
VRRPでは、各ルーターに対して優先度を設定することができます。最高優先度を持つルーターが仮想IPアドレスを保持し、他のルーターは待機状態になります。最高優先度を持つルーターが故障した場合、次に優先度が高いルーターが仮想IPアドレスを引き継ぎます。また、VRRPでは、ルーター間で通信を行うために、仮想MACアドレスが割り当てられます。
VRRPは、ネットワークの可用性を高めるために、インターネット接続を冗長化する場合や、重要なネットワークアプリケーションの冗長化などで使用されます。また、VRRPは、OSPFやBGPなどのルーティングプロトコルと組み合わせて使用することができます。
VRRPアドバタイズメント
VRRPアドバタイズメントは、VRRPプロトコルで使用されるメッセージの一種で、VRRPドメイン内のすべてのVRRPルーターに自身の状態を通知するために使用されます。VRRPアドバタイズメントは、VRRPドメイン内のルーターが冗長化されていることを確認し、仮想ルーターIDと仮想IPアドレスの状態を同期するために必要です。
VRRPアドバタイズメントは、VRRPドメイン内のすべてのルーターに定期的に送信されます。デフォルトでは、VRRPアドバタイズメントは1秒ごとに送信されますが、この値はVRRPルーターの構成によって変更することができます。
VRRPアドバタイズメントには、以下の情報が含まれます。
- 仮想ルーターID：VRRPドメイン内で使用される仮想ルーターのID。
- 優先度：ルーターのVRRP優先度。
- 状態：マスター、バックアップ、またはアイドルのいずれか。
- 仮想IPアドレス：VRRPドメイン内の仮想IPアドレス。
- タイマー：アドバタイズメント送信間隔、マスター/バックアップの切り替えタイマーなどのタイマー情報。
VRRPアドバタイズメントを受信したルーターは、受信した情報を元に、自身のVRRP状態を決定します。VRRPルーターは、VRRPアドバタイズメントを受信しなかった場合、ルーターの状態が異常であると判断し、自身がマスタールーターであるかどうかを判断して、必要に応じて仮想IPアドレスを引き継ぐように設定されています。
VRRPグループID
VRRP（Virtual Router Redundancy Protocol）において、グループIDはVRRPドメイン内の複数のVRRPルーターを識別するために使用される識別子です。VRRPグループIDは、VRRPドメイン内で同じ値を持つすべてのVRRPルーターに共通であり、通常は1から255の間の整数で指定されます。
VRRPでは、グループIDと仮想ルーターIDの組み合わせが、VRRPドメイン内で一意の仮想ルーターを識別します。グループIDは、同じネットワーク上にある複数のVRRPドメインが相互に干渉しないように、異なる値に設定される必要があります。
VRRPドメイン内のVRRPルーターは、VRRPグループIDを使用して、同じVRRPドメイン内に属する他のルーターと通信します。VRRPグループIDは、VRRPドメイン内の複数のルーターで共有される必要があり、VRRPドメイン内のすべてのルーターで一致する必要があります。
VRRPグループIDは、VRRPドメイン内でVRRPルーターをグループ化するために使用され、VRRPの構成に影響を与えます。VRRPルーターのグループIDが異なる場合、そのルーターは別のVRRPドメインに所属すると見なされ、VRRPルーターの構成に必要なパラメーターは別々に構成する必要があります。VRRPグループIDは、VRRPドメイン内での冗長化や負荷分散などの目的で使用され、ネットワークの可用性を向上させます。
VRRPトラッキング
VRRP（Virtual Router Redundancy Protocol）トラッキングは、VRRPグループ内のインターフェースまたはルートが失敗した場合に、VRRP優先度を自動的に変更するために使用される機能です。VRRPトラッキングを使用すると、VRRPグループ内のインターフェースまたはルートが失敗した場合に、その情報を他のVRRPルーターに自動的に通知できます。
VRRPトラッキングでは、特定のインターフェースまたはルートの状態を監視するために、トラッキングオブジェクトが定義されます。トラッキングオブジェクトは、インターフェース状態やルート状態の変化を監視し、それらが変更された場合には、VRRP優先度を自動的に増減させることができます。VRRPトラッキングを使用すると、ネットワーク内の特定のインターフェースやルートの障害が発生した場合に、VRRPグループの優先度を自動的に低下させ、フェイルオーバーを実行することができます。
VRRPトラッキングでは、インターフェーストラッキングとルートトラッキングの2つのタイプがあります。インターフェーストラッキングでは、インターフェースのリンク状態が監視され、リンクがダウンした場合にVRRP優先度が低下します。ルートトラッキングでは、特定のルートの状態が監視され、そのルートが失敗した場合にVRRP優先度が低下します。
VRRPトラッキングを使用することで、ネットワーク内の特定の要素の障害に対して迅速かつ自動的に対応することができます。これにより、VRRPグループ内のルーターが常に最適な状態で動作し、ネットワークの可用性が向上します。
VRRPトリガ
VRRP（Virtual Router Redundancy Protocol）トリガは、VRRPグループ内の優先度が変更されるトリガ条件を指定する機能です。VRRPトリガは、VRRPグループの状態に応じて、VRRP優先度を自動的に変更することができます。VRRPトリガを使用すると、ネットワーク内の特定の条件が満たされた場合に、VRRPグループの優先度が変更され、フェイルオーバーが自動的に実行されることができます。
VRRPトリガには、次のようなタイプがあります。
- 優先度トリガ VRRPグループ内のルーターの優先度が、指定された値以下になった場合にトリガが発生します。優先度トリガを使用すると、指定された値以下になったルーターが自動的にバックアップルーターに昇格し、VRRPグループ内の他のルーターとして機能することができます。
- トラッキングトリガ VRRPグループ内のトラッキングオブジェクトが、指定された状態になった場合にトリガが発生します。トラッキングトリガを使用すると、ネットワーク内の特定のインターフェースやルートの障害が発生した場合に、VRRPグループ内のルーターが自動的にフェイルオーバーし、他のルーターとして機能することができます。
- IPアドレストリガ VRRPグループ内のIPアドレスが、指定されたIPアドレスに到達できなくなった場合にトリガが発生します。IPアドレストリガを使用すると、特定のIPアドレスが障害を起こした場合に、VRRPグループ内のルーターが自動的にフェイルオーバーし、他のルーターとして機能することができます。
VRRPトリガを使用することで、ネットワーク内の特定の要素の障害に対して迅速かつ自動的に対応することができます。これにより、VRRPグループ内のルーターが常に最適な状態で動作し、ネットワークの可用性が向上します。
VRRPバージョン3
VRRP（Virtual Router Redundancy Protocol）バージョン3は、VRRPプロトコルの最新バージョンで、IPv4およびIPv6アドレスファミリーに対応しています。VRRPv3は、VRRPv2と比較して、次のような新機能が追加されています。
- 改善された認証機能 VRRPv3では、より強力な認証機能が提供されています。VRRPv3では、MD5ハッシュアルゴリズムによる暗号化を使用して、パケットの完全性を確保し、不正なパケットの送信を防止することができます。
- IPv6対応 VRRPv3は、IPv6アドレスファミリーに対応しています。これにより、IPv6ネットワーク上でのVRRPの利用が可能になり、IPv6ネットワークの可用性を向上させることができます。
- オプションフィールド VRRPv3では、オプションフィールドが追加されています。これにより、VRRPメッセージに追加の情報を含めることができます。たとえば、オプションフィールドを使用して、VRRPインスタンスの状態やその他のネットワーク情報を伝えることができます。
- 複数のマスタールーターのサポート VRRPv3では、複数のマスタールーターをサポートしています。これにより、同じVRRPグループ内の複数のルーターがマスターになることができます。複数のマスタールーターを使用することで、負荷分散や冗長性の向上が可能になります。
- グループID拡張 VRRPv3では、グループIDの範囲が0〜255から1〜4095に拡張されています。これにより、VRRPグループの数が増加し、より多くのVRRPグループをサポートすることができます。
VRRPv3は、IPv4およびIPv6アドレスファミリーに対応し、より強力な認証機能や複数のマスタールーターのサポートなど、多数の新機能が追加されています。VRRPv3を使用することで、ネットワークの可用性を高め、冗長性を向上させることができます。
VRRP広告
VRRP（Virtual Router Redundancy Protocol）における広告（Advertisement）とは、VRRPグループに属する各仮想ルーターが自分自身が優先的なマスタールーターであることを通知するために定期的に送信するパケットのことを指します。
VRRPグループには、複数の仮想ルーターが所属することができ、これらの仮想ルーターは同じ仮想IPアドレスを共有します。この仮想IPアドレスを通じて、外部ネットワークとの通信が行われます。VRRPグループ内で、どの仮想ルーターが優先的なマスタールーターであるかを判断するために、各仮想ルーターは定期的に広告を送信します。
広告パケットには、以下の情報が含まれます。
- VRRPプロトコルバージョン
- VRRPグループID
- 仮想ルーターの優先度
- 仮想IPアドレス
- 仮想ルーターのMACアドレス
これらの情報を元に、VRRPグループ内で優先度の高い仮想ルーターがマスタールーターとなり、仮想IPアドレスを持つことができます。また、広告パケットにはタイマー情報も含まれており、マスタールーターが障害発生などでダウンした場合、他の仮想ルーターがマスタールーターになるまでの時間を指定することができます。
広告パケットは、VRRPグループに所属する各仮想ルーターが一定の間隔で送信することで、常に最新の情報を各仮想ルーターが把握できるようになっています。
