JRAM

JRAM

 JIPDEC Risk Analysis Method(JRAM)は、情報セキュリティマネジメントにおけるリスクアセスメント手法の一つです。JIPDEC(日本情報経済社会推進協会)が策定した方法論であり、情報システムのリスク評価を実施するための手順を提供します。

JRAMは以下の4つのフェーズから構成されます:

  1. 対象の範囲の定義
     リスク評価の対象となる情報システムの範囲を明確に定義します。情報システムの構成要素や関連するプロセス、取り扱うデータなどを特定します。
  2. 脅威の特定と評価
     情報システムに対する脅威を特定し、それらの脅威が引き起こす可能性のある損害や影響を評価します。一般的な脅威としては、サイバーアタック、自然災害、内部不正などが挙げられます。
  3. 脆弱性の特定と評価
     情報システムの脆弱性を特定し、それが悪用された場合の影響やリスクの度合いを評価します。脆弱性は、システムやアプリケーションの設計上の欠陥や脆弱なセキュリティ設定などによって生じる可能性があります。
  4. リスクの特定と評価
     脅威と脆弱性の組み合わせから、リスクを特定して評価します。リスクは、脅威の発生確率や脆弱性の深刻度などを考慮して算出されます。リスクの評価には、定量的な方法(数値を用いた評価)や定性的な方法(評価基準に基づく記述的な評価)を組み合わせることが一般的です。

 JRAMはリスクの特定と評価を行う手法であり、最終的な成果物としてはリスクアセスメントレポートが作成されます。このレポートには、特定されたリスクとその影響、対策の優先順位付け、対策の計画などが含まれます。リスクアセスメントレポートは、情報セキュリティ対策の立案や予算の配分、リスク管理の意思決定などに活用されます。

 JRAMは、日本を中心に情報セキュリティマネジメントの基本的な手法として広く活用されています。企業や組織はJRAMを活用することで、情報セキュリティに関連するリスクを把握し、適切な対策を講じることができます。また、JRAMはISO/IEC 27001などの国際的な情報セキュリティ規格や法規制にも基づいており、組織のコンプライアンス要件にも対応することができます。