AS境界ルータ

AS境界ルータ

 AS境界ルータは、Autonomous System(AS)内部と外部の通信を制御するルーターです。ASは、インターネット上の一つの独立した通信システムで、ルーティングプロトコル(通信のルール)によって相互に接続されています。AS境界ルータは、このAS内外の境界線に設置され、AS内部の通信と外部の通信を仲介する重要な機器となっています。

 AS境界ルータは、外部のASとの接続ポイントであるインターネット・エクスチェンジ・ポイント(IXP)に接続されます。IXPは、多数のISP(インターネットサービスプロバイダ)や企業のネットワークが接続されている場所であり、AS境界ルータは、IXPを通じて外部のASと接続します。

AS境界ルータは、主に以下の機能を持っています。

  1. パケットのフィルタリング 外部からのトラフィックに対して、不正なアクセスや攻撃を防ぐために、アクセス制御リスト(ACL)によるフィルタリングを行います。
  2. ルーティング AS境界ルータは、AS内部のルーティングプロトコルと、外部のルーティングプロトコルを使って、最適な経路を選択し、パケットを転送します。
  3. NAT(ネットワークアドレス変換) AS内部のプライベートIPアドレスを、グローバルIPアドレスに変換するNAT(ネットワークアドレス変換)を行い、AS内部から外部への通信を可能にします。
  4. VPN(仮想プライベートネットワーク) VPNを使用することで、安全にインターネットを利用することができます。AS境界ルータは、VPN接続の仲介役として機能します。

 AS境界ルータは、AS内部と外部をつなぐ重要な役割を担っているため、高い信頼性とセキュリティが求められます。また、大量のトラフィックを処理するための高速な処理能力が必要となります。