APT

APT

 APT(Advanced Persistent Threat)とは、高度で持続的なサイバー攻撃の一形態です。APTは、非常に熟練した攻撃者によって計画的に実行され、標的となる組織や個人に対して長期間にわたって監視、侵入、情報窃取、破壊活動などを行います。

 APT攻撃者は、標的となる組織や個人を熟知しており、しばしば社会工学的手法を用いて、組織内のシステムやネットワークに侵入します。APT攻撃者は、検知されずに侵入し、長期間にわたって組織内部に存在し続けることができます。APT攻撃者は、標的となる組織や個人の機密情報を窃取したり、システムやネットワークを破壊することで、目的を達成します。

APT攻撃には、多くの場合、複数のフェーズがあります。APT攻撃の典型的なフェーズは、以下の通りです。

  1. 情報収集フェーズ
     攻撃者は、標的となる組織や個人に関する情報を収集し、攻撃計画を立てます。このフェーズでは、電子メール、ソーシャルメディア、オンライン論文、公式ウェブサイトなどのオンライン情報源が利用されることがあります。
  2. 侵入フェーズ
     攻撃者は、標的となる組織や個人のシステムやネットワークに侵入します。APT攻撃者は、しばしば悪意のあるリンクや添付ファイルを送信して、標的となる組織や個人を誘導します。
  3. 踏み込みフェーズ
     攻撃者は、標的となる組織や個人のシステムやネットワークに潜り込みます。このフェーズでは、バックドアを作成したり、キーロガーをインストールしたり、その他の攻撃ツールを使用して、攻撃者の存在を隠すことができます。
  4. 移動フェーズ
     攻撃者は、攻撃対象となるシステムやネットワーク内を移動します。攻撃者は、攻撃対象となるシステムやネットワーク内の機密情報や資産を見つけることができます。このフェーズでは、攻撃者は、権限を昇格させたり、サービスを利用したり、バックドアを使用して、システムやネットワーク内の制御を取ることができます。
  5. 情報窃取フェーズ
     攻撃者は、標的となる組織や個人から機密情報を窃取します。このフェーズでは、攻撃者は、盗聴ツールを使用して、通信を傍受し、データベースから情報を抽出するなど、多くの方法を使用して情報を収集します。
  6. 破壊フェーズ
     攻撃者は、システムやネットワークを破壊することで、標的となる組織や個人に損害を与えます。攻撃者は、データを消去したり、サービスを停止したり、システムを破壊するなどの方法を使用することがあります。

 APT攻撃者は、しばしば高度で洗練された攻撃手法を使用します。APT攻撃に使用される手法の一部には、以下のものがあります。

・ ゼロデイ攻撃
標的となるシステムに対して、既知の脆弱性がない未知の脆弱性を利用して攻撃を行う手法。

・ スピアフィッシング
特定の個人を狙ったフィッシング攻撃。

・ バックドア攻撃
システムやネットワークにバックドアを設置し、攻撃者がアクセスできるようにする手法。

 APT攻撃は、個人や組織に対する重大な脅威となっています。防御策としては、セキュリティ意識の向上、脆弱性の穴埋め、マルウェア対策、ログ管理、侵入検知システムの導入などが必要です。

APT攻撃に対する防御策の一つとして、サイバーセキュリティのプロフェッショナルは、以下の方法を採用することがあります。

  1. マルウェア対策ソフトウェアの導入
     APT攻撃に対する最も一般的な防御策は、最新のマルウェア対策ソフトウェアの導入です。これにより、既知の脆弱性に対する防御が強化され、悪意あるプログラムを検出し、削除することができます。
  2. ファイアウォールの導入
     ファイアウォールは、ネットワーク内外の通信を監視し、不正なトラフィックをブロックすることができます。このため、ファイアウォールの導入は、APT攻撃に対する防御策としても有効です。
  3. 侵入検知システムの導入
     侵入検知システムは、システムやネットワーク内で異常なアクティビティを検出し、攻撃を検知することができます。これにより、APT攻撃を早期に検知し、対策を取ることができます。
  4. パスワードの強化
     APT攻撃による情報漏洩を防ぐためには、強力なパスワードポリシーを実施することが必要です。強力なパスワードは、ランダムな文字列を使用し、定期的に変更されるようにすることが望ましいです。
  5. セキュリティ診断の実施
     定期的なセキュリティ診断を実施することで、システムやネットワーク内の脆弱性を特定し、修正することができます。これにより、APT攻撃による被害を最小限に抑えることができます。

 APT攻撃は、高度で洗練された攻撃手法を使用するため、従来のセキュリティ対策には十分ではありません。そのため、組織は、常に最新の脅威に対する情報を収集し、最新のセキュリティ対策を採用する必要があります。